女子重量挙げ三宅宏実「銀」、父娘メダル

 五輪女子のメダル1号は柔道ではなく、重量挙げ三宅宏実の銀メダルだった。父と娘のマンツーマンのトレーニングの様子が何度も紹介されてきたこともあり、3度目の五輪出場でもあり、もはや「伏兵」ともいえないが、心情的には応援したくなる選手ではあった。銀メダル獲得でかつ、史上初の父娘でメダル獲得という偉業となった。

三宅宏実「銀」日本初!父娘メダル(SANSPO.COM)
取ったぞ「親子メダル」三宅、重圧押しのけ銀

 あの小さな体(147cm)で、あんな重いバーベルを持ち上げるのだから、何もそこまでと普通の人なら思えてしまう。しかし父の三宅義行と、叔父で2大会連続金メダリスト三宅義信とは、かつての五輪で日本に重量挙げというスポーツを知らしめた、この世界でのエリート一族といってよいだろう。そんな中で女子競技にも取り入れられるようになったタイミングだったとはいえ、後継者としての道を歩むようになるのは必然だったといえるかもしれない。


 しかし五輪の一発勝負では何が起こるかわからない。開催前から「メダル確実」と評されながら、届かずに無念の涙を飲んだ選手も数知れない。それほど現実にはメダルを獲得するのは難しい。個人競技ではないが「金メダルしかいらない」などと豪語して、全く期待外れに終わった北京五輪の野球など、五輪独特のプレッシャーなどを理解できずに終わったのではないかと、違和感ありまくりだった。その点、3大会目とはいえ、着実に順位を上げ、銀メダルまで到達した三宅宏実は日々の研鑽が結果につながった、むしろ稀なケースだったといえるかもしれない。


 どんな競技でも「一生懸命頑張りました」だけでは、本人はともかく、国の代表を送り込む競技としては続かない。結果を出す選手がいてこそ、それを目標にした選手が現れ、また結果を出した選手が有能な指導者になっていく。三宅父娘はそれを親子で体現したことになる。改めて歴史の1ページを切り開いたといえるだろう。