体操・内村航平、個人総合「金」

 ロンドン五輪で日本選手のメダルの総数は多いものの、なかなか金メダルが出ない中で、最も期待されていた体操の内村航平が見事、個人総合で金メダルを獲得した。体操ニッポンの復活を象徴する出来事であった。

世界一のどや顔!内村、個人総合「金」(SANSPO.COM)
海外も内村を絶賛「スーパーマン」「独壇場」

 とはいえ、団体のときはミスやアクシデントに見舞われ、不完全燃焼のような状態だった。それでも中国に次いで2位というのは底力があるということだろう。そうした復活があったのは、2004年アテネ五輪以来と思える。特に冨田洋之の正確かつ美しい演技は体操ニッポンの伝統を受け継いだように思われた。冨田の「美しくないと体操ではない。ただ派手な技をやるだけならサーカスと変わらない」の言葉はその後の日本チームの精神として受け継がれている。


 冨田と同じオールラウンダーとしての内村は「6種目をやってこそ体操」の体現者として個人総合の金メダルに輝いた。個人の才能はもちろんだが、基本精神が受け継がれてきたことがすばらしい。個人総合の金メダルは1984年ロス五輪の具志堅幸司以来28年ぶりだという。


 とはいえ、昔とははるかに演技の難易度が上がっている。跳馬の着地なども高速の前方回転ばかりでなく横ヒネリの回転など、超人技としか思えない。世界の中でも1人、別次元に居ると言われたほどだ。NYタイムズが「スーパーマン」と称するのも理解できる。


 どんな競技でも、世界に通用する有能な選手を育成していく環境は、国家で育成している国に比べれば決して恵まれてはいないが、時代を超えた伝統や精神は受け継いでいってほしいものである。