FacebookがInstagram買収を完了

 投稿写真サービスといえば、FlickrやPiccasaが思い浮かぶが、一昨年秋から始まったiPhoneアプリ用のInstagramが急成長しており(4月からAndroidにも対応)、Facebookが買収を完了した。スマートフォンSNS時代に対応した流れといえそうだ。

Facebook、Instagram買収を完了 アプリからの..(ITmedia)
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ヤフーがどのようにFlickrをダメにしたのか?..(GIZMODO 6.14)

 デジタルカメラで撮影したものをUSBケーブルでPCに取り込んだり、携帯電話で写メする、という形態がすでに古い発想になっている。現在はスマートフォンで撮影した写真をそのまま投稿写真サービスにアップしてSNSでリアルタイムで共有する。それらはスマートフォンだけで完結することができる。もちろん既存の投稿写真サービスとの共有もできる。iPhoneAndroidの普及がまさにInstagramの急成長した要因となっている。位置づけとしては、twitterの写真版といったところである。個々の写真というより、一連の写真のストリームが重要になるのだろう。現場からのリアルタイムでの報告などにはうってつけであろう。


 さて時代の流れは早いもので、何年か前はこの分野ではFlickrが話題であったが、どうも最近はあまり評判を聞かなくなった。国内的には日本語版がないことも理由にあるかもしれないが、根本的原因はSNS化の波に乗れなかったことのようである。それはFlickrを買収したYahoo!SNSがなかったことが大きい。買収後は基本的Yahoo!のIDを要求するのもあまり評判はよくなかったようだ(Yahoo!JapanのIDではログインできず、FacebookGoogleのIDでは可能)。「友人と写真を共有したい」ためには、スマートフォンの時代になると、ユーザはFlickrYahoo!ではなくIntagram+Facebookへと移っていったのである。単なる写真保管場所としても、多くのクラウドのストレージサービスに遅れをとることになったようだ。保管するだけなら写真だけでない、一般ファイルも同時に保管できるストレージの方が良いに決まっている。7月のユニーク訪問者数ランキングで1位Google、2位Microsoft、3位Facebookだが、4位のFacebookがこうしたIntagramの効果もあって、Yahoo!を抜いて3位に浮上しそうだという事実が象徴的である。


 SNSクラウドサービスの大きな流れが、すでに何年か前まで注目だったサービスさえも落としつつある典型のようである。自分もこれまで、いわゆる「クラウド型サービス」の例としてFlickrを持ち上げていた考えを修正しなければならないようだ(「クラウド型」は本当の意味での「クラウド」になっていない)。もう1つはSNSではFacebookに先行していたMyspaceの凋落である。こちらはFlickr以前からその兆候はすでに見えていた。Facebookとなぜこんなに差がついたのか、という議論さえ過去のものになった気がする。