GoogleとAmazonの新たなライバル関係

 GoogleAmazonのライバル関係がクローズアップされてきている。最近でいえばタブレットのKindle Fire HDDとNexus 7のほぼ同時期で同価格での発売、そしてクラウドサービスでの競合もあり、今後さらに広告分野、オンラインショッピング分野などで正面から衝突していきそうだ。

2013年、激しさ増すGoogleとAmazonの衝突(ITmedia)

 Kindle Fire HDDの1つをとってみても、Amazon関連のサービスへのアクセス中心には便利だが、Google Playが使えなかったりGoogleサービスの利用に制限があったりして、かなりGoogleへの対抗を意識したものになっている。Android OSではあるものの、それを意識させない造りとでも言えばいいだろうか。


 もともとGoogleは検索広告、Amazonはネットでの小売を専門として巨大化した企業だが、ネットサービスが拡大するにしたがってライバル関係が際立ってきたのだろう。Googleのライバル関係といえば、MicrosoftであったりAppleであったりもするのだが、これらとのライバル関係ともやや違う。Mirosoftに対してはOSやOfficeなどの過去の権威や独占に対するものであり、Appleに対してはiPhoneiPadなどのモバイル分野での対抗である。ところがAmazonに対しては、広告やオンライン取引などの、まだこれからの広大な市場での新たな競合である。


 Amazonが当初クラウドに参入してきて、現在もトップを走る存在になるとは、何年か前には想像もしていなかった。Amazonとサーバーインフラのサービスがイメージとして結びつかなかったからである。Googleならクラウドという言葉が生まれる以前から実質クラウドのサービスを行なっていたといえるから当然だが、Google Compute Engineのサービスなどは明らかにAmazon EC2の後追いのものである。


 タブレットにしろ、ハードウェアの販売で利益を得ようとするとするものでなく、明らかにそれぞれのサイトにユーザを集中させるためのツールでしかない。その結果、広告なり小売が増えて増益に繋がればよいからである。タブレットはまさに「クラウドサービスのフロントエンド」なのである。自分もKindle Fire HDDを購入したが、Nexus 7と両方欲しいところであった。冗談で「Kindle FireAmazonがショッピングカートを配布したようなもの」と知り合いに言ったが、当たらずとも遠からずであろう。GoogleにしてもNexus 7Googleサービスに誘導するツールにすぎない。


 ユーザとしてはこうしたライバル関係は歓迎だが、一方で中小のショッピングサイトや出版社や書店、そしてタブレットのメーカーなどにとっては死活問題になってくるだろう。新たなネットビジネスの展開はタブレット普及の動向から見えてくるものかもしれない。