大学生が高校教科書を個人で発行

 ちょっと気になったのが「大学生が高校教科書を個人で発行」というニュース。まだ大学生なのに凄いね、という感想だけではなく、現在ではいろいろな可能性が含まれていることを考えさせられたからである。

大学生が高校教科書を個人で発行 春から教室で使用へ(ITmedia)

 まず電子書籍が普及しつつある現在、誰でも出版が可能になってくることである。出版社からの依頼がなくても、とりあえず自費出版(この表現自体が古めかしい)というより自主出版できる。数式や図表を含む理科系の教科書も、TeXからグラフィックソフト(GIMPInkscapeBlenderなど)を無償で使えるし、PDF文書にもMathMLでWeb化することもできる。すぐに紙の書籍にする必要はなく、とりあえずはタブレットで表示させて使うことができるようになる。これをネットで共有しながら利用する範囲を広げていけば、次第に評判も付いてくることになる。改編やバージョンアップも自由である。


 自分が関心があるといえば、公開されているLinux標準教科書があるが、講習で教科書として使ってみたいが、なかなか機会がない。実は10年くらい前にサーバー構築編まで必要に迫られて自分でも作っていたのだが、時間がなくて中途半端に終わった思いがある。プログラミングの教科書は書く気がしないが(適用するジャンルによって例題が難しい)、サーバー系は経験を記録することが教科書のようになる。多くの市販本は経験が少ない入門書ライターによって、インストールと起動くらいまでしか書かれていないからあまり使えない。今ならクラウド活用の教科書となるだろうか。


 ところで、教科書は誰でも文部科学省に申請できるものだということを知った。内容に関しての検定はあるものの、著者の資格は別に大学や高校の先生でなくても一般人でもいいわけだ(監修者は必要かもしれないが)。かつての百科事典に似て、権威者でなければ書けなかったものが、現在のWikipediaのように無名でも知識のある人が自由に記述できるようになったように、教科書やテキストも多くの人が書くことができてネットに公開できる。本当に良いものはオープンソースのようにその中から選択・採用されていくことになるだろう。まず検定ありきではないだろう。