スマホで家電遠隔操作の規制緩和へ

 「スマホから自宅の家電を遠隔操作」といっても特に目新しさを感じないどことか、まだ実現されていなかったのかという意外性の方が強い。そこには50年前に施行された法律の規制の壁があったという。

スマホで家電遠隔操作、経産省が規制緩和へ 開発後押し(ITmedia)
「スマホでエアコン遠隔操作」禁止の理由 50年前の法律に..(2012.12.20)

 50年前といえば、そもそも「家電製品」(電化製品と言われた)というものが初めて一般家庭に登場しだした頃であろう。「白黒テレビ」「洗濯機」「冷蔵庫」が三種の神器と言われた時代である。車もまだまだだしエアコンは姿もなかった。コンピュータに至っては電卓すら出ていなかった。その時代に電気安全の目的で施行された法律で規制されているのだという。建前からすれば法律の解釈論のような気もするが、実際当時は電気がショートしたり加熱し過ぎで火災が起きたりすることも多かったのだろう。


 コンピュータ関連の業者ならば電気事業法などを熟知していようが、一般家庭での話になると過去になかった状況であり、法律による制限は想定外だったのだろう。何しろ当時はなかったエアコンの遠隔操作が制限されるというのだから。ようやく経産省規制緩和に乗り出したというのだが、法律に関してはいつものことである。


 家電製品の遠隔操作などという話はITブームが起きた10年以上前に、携帯電話からネットを通じて家電製品を制御するという話がなされていた。つまるところ現代の三種の神器をLANで接続してしまうということであった。冷蔵庫では貯蔵品がネットで管理されていて、ある食材が不足してくると冷蔵庫がセンサーで感知して勝手にネットから注文を出すというアイデアもあった。ただすべての家電製品にIPアドレスを割り振らなくなくてはならないから必然的にIPv6アドレスが必要になるというものだった。


 この10年の間に携帯電話はスマホに、テレビはデジタル化し、IPアドレスIPv4の枯渇からIPv6に進まざるをえなくなるなど、ある程度予想通りになった部分もあるし、Webやクラウドなど予想を超えている部分も相当にある。法律が追いつかないのは当然といえば当然なのだが、著作権問題なども含めて、誰が時代に合った公正な法律に変えていけるのかが問題な気がする。