楽天とAmazonを比較したところで

 だいぶ以前に、モノを買うのに楽天とAmazonのどちらのサイトが便利かという比較が話題になったが、現在になってAmazonの驚くべき日本における売上高が公表された。ついにベールを脱いだというより、やはりそうだったかと思える結果だった。蓋を開けてみれば、楽天の3倍近くもの額である。

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 楽天Amazonをライバル視して事業展開することがビジネスの上でも刺激になっているだろうが、やはりAmazonはスケールが違うと感じさせられる。数字そのもので単純に比較できないとはいうものの、数字が歴然と物語っている。Amazonはグローバル市場の手法だけでなく、日本国内にカスタマイズしたビジネス展開をしているようだから、楽天に限らず国内ECサイトにとっては黒船来航以上の脅威であることは確かである。もはや買い物するにはどっちが便利?という呑気なレベルではない。


 急速に普及しているスマホタブレットのコンテンツの観点から見ると、日本市場はAppleGoogleAmazonに制圧されてしまうのではないかとさえ思われる。Amazon側から見るとライバルは楽天ではなく、AppleGoogleなのである。日本としてはそれでよいのかということになる。モバイルでいえば、かつてはガラパゴス化として独自の市場を形成していたかのようであったが、スマホ/タブレット市場では完全に海外に制圧されてしまっているように見える。そこからアクセスされる先のコンテンツも3社のサイト経由で提供されるようになっている。


 自分もAmazonKindle Fire HDを入手したが、楽天koboがこれにいろいろな意味で対抗できるとは思えない。ハードウェアだけに着目すれば大差のないものかもしれないが、その背景になっているものの規模が違い過ぎる気がするからである。AmazonにとってはこれがECサイトへの入り口でもありクラウドの入り口にもなっている。GoogleのNexusにしろ同様である。


 ただネットショッピングの市場は、世の中が不景気とはいえ、リアル店舗の売り上げとは逆に拡大を続けている。グローバル市場では対抗できなくても、日本国内にローカライズした中での独自性を確立した市場を拓ける余地はあるだろう。