日本WBC3連覇ならず

 WBCで日本はサンフランシスコでの決勝トーナメントに進出したものの、準決勝でプエルトリコに敗れ、3連覇の夢は叶わなかった。

侍ジャパン3連覇ならず…準決勝で敗退/WBC(SANSPO.COM)
「日本はスポーツマンシップを見せた」公式サイトがたたえる/WBC
“ボヤき怪人”ノムさん「なんで山本浩二なの」

 今回は前回、前々回よりは初めから関心が薄かった。日本人メジャーリーガーが入っていないこともあるが、それ以前からメジャー側と権利をめぐってボイコット騒動だの、監督をやりたがる人がいないだの、とてもW杯のようなイメージは持てないからである。


 そして山本監督であったが、野村監督あたりは「なんで山本浩二なの」と監督の実績としてなぜ自分ではないのかと冗談半分でボヤいていた。監督としてはそう悪くはないとは思うが、どうも北京五輪でコーチを務めたときの星野監督負のオーラがなんとなく付いて回るような感じがしてならなかった。監督にもここ一番の運とかツキを持っていることが大事である。


 選手の方はメジャーリーガーは居ないまでも、強力なリーダーシップを取ったりヒーローとなる選手の存在が必要である。讀賣の意向か巨人の選手は多かったが、だいたい昔から国際試合になると、なぜかあまり活躍できない。例外はかつての上原だけでアマチュア時代、151連勝中だったキューバの連勝をストップさせ日本を優勝に導くという快挙を成し遂げて以来、国際試合では負けなしだった。こうした選手がチームにいるだけでチームには自信になるし、相手チームにとっては脅威になる。ここ一番を突破するには、イチローのようなカリスマがいることによってチームの底力が出ることが必要である。ワールドシリーズMVPに輝いた松井しかりであった。


 終わってみればベスト4はよくやった方だろう。米国は相変わらずやる気がないのか、名将トーリ監督をもってしても2次ラウンド敗退であった。今回からは野球W杯をWBC予選に統合させたことになったようだが、メジャーリーグが各国への権利の移譲など本気で取り組まなければ、とてもW杯としての位置づけは難しいだろう。


 MLB公式サイトの映像で見たが、最後のプエルトリコ戦で良かったこともある。試合前の始球式で第1回、第2回の優勝監督として王会長、原監督が始球式に登場し、キャッチボールのようだったが原監督は当然としても2人とも見事なストライク送球だった。笑顔を見せた王会長は70歳を過ぎても相変わらずで、さすがのサダハル・オーの存在感であった。


 そして敗戦後、山本監督以下選手全員が相手チームとファンに向かって整列して一礼をした。これが今回のWBCで最も感銘を受けたシーンだった。日本では高校野球から当たり前のシーンなのだが、海外での国際試合の場では新鮮に見えた。勝ったらマウンドの上に国旗を立てるようなどこぞの国とはえらい違いである。放送した米国のアナは「相手チームとファンをリスペクトしたスポーツマンシップに溢れる行為」と讃えていた。山本監督が先に1歩前に出て帽子を取ってお辞儀をすると選手がそれに続いた。ここに山本監督の星野監督とは違う人柄のようなものを感じた。3連覇できなかったとはいえ、立派な態度だった山本監督を批判する人は少ないだろう。