電子化された貴重文書のネット公開

東大や国会図書館がデジタルアーカイブの一般公開を行なってきている。電子書籍時代の到来に合わせ、手軽に古典的な名著を無料で鑑賞できるようになってきたようだ。

「資本論」「国富論」初版本など電子化、東大がネット公開(ITmedia)
国会図書館、2万3000図書をネット公開 吉川英治作品など(2.22)
青空文庫に柳田国男「遠野物語」、吉川英治「私本太平記」など登場

 東大のOPACからは最初なかなか見つけることができなかったが、[詳細検索]の[検索オプション]から所蔵館:[経図・所蔵庫]、文庫区分:[アダム・スミス文庫]や、所蔵館:[経図・所蔵庫]の中から著者名[Karl Marx]などとして検索したら見つかった。検索結果の文書の[詳細表示]すると電子文書があるものは登録番号の横に書類のアイコンがあり[貴重文書]となっている。経済が専門ではないものの、百年以上も前の「資本論」や「国富論」の書籍とは感慨深い。今さら経済学の古典を勉強しようというわけではないが、貴重文書を鑑賞するためにPDF化された文書をいくつかダウンロードしてみた。またタブレットでどれだけ快適に眺められるかもテストするためでもある。Kindle Fire HDAdobe Readerはだめで、KindleのネイティブのReaderの方がきれいに表示された。ページを横向きにスライド移動もできる。


 もっともPDF文書といっても古典の書物を見開きでページごとに写真を撮ったものである。だいぶ赤茶けた百年以上も前の歴史的書物であることを実感させられる。今後、いろいろなジャンルの歴史的な書物を公開してもらいたいものである。電子書籍の普及の時代にあって関心は高いことが予想される。昔だったら博物館とか資料館にガラス張りの中に展示されているだけであって、中身まで見ることはできなかったからである。


 国会図書館の方は各ページをWebで閲覧できる形式になっており、あたかも図書館で閲覧させてもらっているような感じである。著作権が切れている本の内容とはいえ、こちらはダウンロードはできない。


 オープンな文書といえば「青空文庫」がある。こちらはテキストそのものであるから小説などはそのままで読めることになる。ただそのままだと縦書きにはなっていない。しかしスマホ/タブレットのアプリが出ており、有名小説などを無償で縦書きで読めるものもある。


 無償で著作権の切れた歴史的な文書を閲覧できるのはよいことだが、その公開方法はまだバラバラであるようである。電子書籍も発展途上にあり、まだこれからということかもしれない。そもそもダウンロード型かクラウド型の文書か、文書の引用、再利用を考えれば青空文庫のようなベタのテキストが案外一番よいのかもしれない。電子書籍の装丁はユーザが自由にでき、それこそAmazonの自主出版のようなサービスを利用すれば、自分だけの文庫を作れてしまうかもしれない。いずれにしても今後、多くの貴重な文書が電子化されてほしいものである。