RockMeltののデスクトップ版が終了

Netscape Navigatorの創始者で知られるマーク・アンドリーセン氏が支援しているとされる「ソーシャルブラウザ」RockMeltがデスクトップ版を終了するという。事実上のブラウザ分野からの撤退なのだろうか。

ソーシャルブラウザのRockMeltがニュースリーダーに衣替え(ITmedia)

 インターネットおよびWebの歴史を語る上でマーク・アンドリーセン氏は重要な人物であることは間違いない。もう20年前の1993年にMosaic Communications(後のNetscape Communications)を立ち上げ、Netscape Navigatorをネットの世界に送り出したことから、現在のWebの時代は始まったといってもよい。当時創刊された「インターネットマガジン」誌でネットスケープの言葉を見ると、何かわくわくした覚えがある。


 その後、NetscapeはAOLに買収され事実上消滅し、その遺伝子はFirefoxに受け継がれた。その後のアンドリーセン氏はいくつかの事業を立ち上げ売却をしていたが、2008年にはFacebookの取締役に就任している。またHPやeBayの取締役にもなっている。


 ただ一度ブラウザの開発で名声を獲得したような、プロジェクトの大きな成功とはなっていないようだ。RockMeltは新しいブラウザの触れ込みで、FacebookTwitterと密に連携される「ソーシャルブラウザ」という触れ込みった。2008年以降はFirefoxに加えGoogle Chromeがブラウザに参入してシェア獲得競争が激化していた時期でもあった。一方でFacebookTwitterが世界的に爆発的に普及し始めた時期であったので、ブラウザとSNSを融合させたプロジェクトはある意味、自然な流れであったのかもしれない。


 確かに現在では多くのWebサービスでも、FacebookTwitterとすぐにリンクや連携ができるものが多くなった。だからといってこれらを統合する環境であるようなRockMeltは、必ずしも必要とされていない。ブラウザとしてはマイナーの域を出ないからかもしれない。FacebookTwitterを利用したい人は、たとえブラウザ環境がなんであれ、ダイレクトにサイトに向かってしまう。スマホタブレットなどの環境ではアプリを起動すれば一発であるから、特別なブラウザを意識することさえない。したがって少なくともFacebookTwitterを使うためだけだったら、必要とはされないだろう。


 自分もRockMeltが発表された頃にさっそくインストールしてみて現在に至っているが、最近はほとんど起動すらしていなかった。ブラウザというより、ソーシャルのプラットフォームというコンセプトを狙ったと思えるが、どうしてもブラウザの性能と考えると、Google ChromeFirefoxで十分になってしまうのではないだろうか。