MicrosoftとOracleがクラウドで手を組む背景
MicrosoftとOracleがクラウドで提携する背景をロイターの記事が論じている。Oracle側としては新興企業に事業基盤を侵食されることを食い止めることだとしている。
形勢一変とはならないが─長年のライバル・MicrosoftとOracleが..(ITmedia)
簡単に言えばMicrosoftやOracleはビジネスユーザを囲い込んでクローズトの有料サービスを提供するベンダーである。AmazonやGoogleは全く売り物が異なるのだが、その道具として出現してきたクラウドサービスにMicrosoftやOracleの既存ユーザの関心が向いていき、経費節減のためのこともありクラウドへ移行しつつあるということだろう。これはOracleが買収したSunがなぜ消滅していったかとも関連がある。Sunのワークステーション市場が安価なPCサーバー市場へと移行していったためである。そしてそのPCサーバー群の再編成されたものがクラウドだというインフラ的な見方もできる。
だから事業基盤を侵食されるというのとはやや異なり、時代とともにユーザの関心が移り、結局ベンダーそのものが事業内容そのものを変革しなければユーザを繋ぎ止められない状勢となってきたわけである。AmazonやGoogleがMicrosoftやOracleと同種のサービスを展開しだしたからではない。MicrosoftとNokiaの提携についても同様に見ることができる。Nokiaにとっては従来の携帯電話ユーザの関心がスマホに向かい出した頃から業績が落ちはじめ、スマホから参入したAppleやGoogleの後塵を拝することになり、MicrosoftにしろPCでは独占状態だったOSがモバイル分野では後塵を拝することになったことから、そのモバイル分野での凋落傾向に歯止めをかけたい両者の提携だったといえる。同様にただちに「形勢一変とはならない」点でも共通している。
今後のクラウド分野での1つの鍵はデータベースにあるといえるだろう。これまで大企業向けの有料サービスであるOracleデータベースやSQL Serverであるが、中小企業向けや一般のLAMPなどのWebサービスでは圧倒的にMySQLであった。Sunの買収に伴ってMySQLの権利もOracleに移ったとはいうものの事実上MySQLユーザをコントロールすることはできないだろう。ただクラウド上ではデータベースはMySQLのままとはいかなくなるだろう。もともとMySQLは単一サーバー向けのデータベースであり、クラウドの複数の仮想サーバーの連携には向いていない。クラウド向けのSQLサーバーが必要となるがそれがAmazonやGoogleが提供するもので足りるかどうか、その辺の評価はまだ確定していない。ビッグデータの時代といわれるだけに、単にサーバー運用を楽にするというだけのクラウド導入ではなくて、よりヘビーな処理を必要とする分野でのクラウドの市場はまだこれからの可能性も高い。そういう伸びしろを期待しての提携と見ることもできるだろう。