Microsoft Security Essentialsがまもなくβ公開

 MicrosoftアンチウイルスソフトMorro」が、「Microsoft Security Essentials」として、6/23にベータ版公開される。セキュリティソフトベンダーのソフトやサービスのローエンド並に位置づけられるということだが、さてどうなるか。

Microsoftの無料セキュリティサービス、6月23日にβ版リリース(ITmedia)
MSの無料ウイルス対策ソフト「Microsoft Security Essentials」,まもなく..(CNET Japan)

 SymantecMcAfeeやTrendMicroなどの商用ソフトのベンダーから見れば、あらゆるセキュリティ上の脅威から守る「セキュリティ・スイート」としては軽量版に過ぎないと、軽視したい意向であったようだ。しかしこのセキュリティ・スイートというものが問題である。やたら余計なことまでやりたがるという意味で、スイーツ(笑)ですかと言いたくなる。ウイルス対策ソフトならウイルスの検出・検疫だけやればよいし、スパイウェアならスパイウェアだけ、パーソナルファイアウォールならそれだけでよいと思う。


 ところが近年さまざまな脅威が増してきたということで、フィッシングサイトの警告やら、デフォルトでやたら多くの制限を儲けるようになって、何から防御しているのか、非常にわかりにくくなっている。商用であるからバージョンが上がるたびに多機能にしたいのは常であろうが、多機能さが裏目に出ることもある。PCのパフォーマンスが落ちるのはもちろん、不必要にポートをブロックしてアプリケーションが動かなくなったり、実際には問題がないのに警告が多く出るようになっている。面倒くさくなってウイルスソフト対策ソフトをオフにして、対策ソフトの対策をする、という逆にセキュリティが低下させることになったりする。Vistaそのものも警告、確認だらけだから、PC利用者はとまどい不安を感じるようになっている。


 本当のネットワークからの脅威にだげ対応できるソフトウェアがあれば、本来はそれで十分である。それ以上の機能は自分が使うPCではなくて、必要上他人にデモ的に公開して操作させる必要があるPCだけではないかと思える。であるから、不完全なセキュリティソフトではなく、最低限必要な機能を備えているセキュリティソフトであれば、通常はそれで十分なはずである。そのソフトを第3者がフリーソフトとして提供するのではなく、OSの仕様を知っているMicrosoftが責任を持って提供することは、本来当然の責務であったはずである。それをネットに接続するからとはいえ、セキュリティを他社に依存してしまう方がおかしな発想であった。


 したがって、この件に関してはMicrosoftが自らウイルス対策ソフトを提供することに賛成である。これまでセキュリティソフトベンダーは必須ソフトでありながら数社の独占であり、その販売手法は「ユーザの不安を煽り、売りつける」ことに近いと思えて、あまり感心できるものではなかった。Microsoftが提供することは、WindowsWindowsアプリケーションがウイルスのターゲットになっている以上、その対策をユーザに提供することは、当然の責務としてとらえられるからである。


 Microsoftのセキュリティソフトが無料かどうかという話もおかしな話で、あえてウイルス対策ソフトを切り離して無料を主張する方が、セキュリティソフトベンダーと同じで宣伝くささを感じてしまうから「ウイルス対策ソフトはWindowsの費用に含まれています」と言った方がよいだろう。


 今後、セキュリティソフトベンダーとしては、Microsoft製品などとも共存しながら高機能の付加価値を売りにしていくしかないだろう。「他社では検出できないが、当社製では検出できて安全」ではなく、その付加価値はセキュリティ対策上、本当に必要なものかどうかは、ユーザのPCの使用目的と、判断に委ねるべきであろう。