Twitterは技術ではなく人間性の勝利

 なにか書くことがないと、twitterの記事にばかり注目しているような気もするが、twitterの創業者が来日して面白い言葉を言っていたので、あえて書き留めておくことにしよう。「Twitterは技術ではなく、人間性の勝利」なのだという。

「Twitterは技術ではなく、人間性の勝利」-Twitter共同創業者Biz Stone氏..(CNET Japan)
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 何度か書いてきたが、今のネットの時代にtwitterのようなテキストのショートメッセージだけのサービスがこれだけ受け入れられるのは驚きでもある。動画でも音声でも自由に入れられる時代なのにである。シンプルさやエントリーを生み出す敷居の低さも要因である。確かにネットで自ら情報発信しようすれば、かつては自分でWebページを作ってまめに更新しなければならなかった。はじめのうちは気合を入れてやっていても次第に面倒になり、ついには更新しなくなったりした。ブログやSNSが出てきてからは、自分でWebページを作らなくても文章だけをエントリーすればよいので、少し敷居が低くなった。けれども毎日のように文章を生み出すのもなかなか労力がいる。そこがtwitterだと、たった1行だけ、その場を言いたいことだけ発すればよいのだから、ブログなどよりさらに敷居が低くなり、シンプルだけにリアルタイム性も高い。誰でも携帯電話を持つ時代にきわめてマッチしていることになる。


 さらには人間関係という点では、SNSなどよりは、はるかにゆるい関係で済む。それがまた負担にならないのが大きいのではないかと思える。メールにしろブログのコメントなどにしろ、絡まれると面倒であるし、自分が発信しようという意欲も削がれる。twitterはタイムリーに一言の「突っ込み」だけを入れていればよい。ウェットな人間関係を望む人は、それなりの従来型Webサービスを使えばよい。


 最近、必要上、人間関係やネット上の人間関係から発するネットワークの話を調べている。インターネットや新型インフルエンザもそのようなネットワークの範疇である。その意味でも「技術よりも人間性」という言葉は、情緒的な話としてではなくきわめて興味深い。従来型の人間関係とは、いわゆる「スモールワールド・ネットワーク」という各種のコミュニティとそれらをゆるく繋ぐ関係で解釈される。一方、WebのリンクとかSNSなどに現れる関係などは、単なるスモールワールド・ネットワークだけでなく、ところどころにリンクが集中するハブの存在が認められる「スケールフリー・ネットワーク」になるのだという。今で言えば、まさにtwitterで構成され成長する人間関係のネットワークもスケールフリー・ネットワークの典型になるものといえるだろう。ところどころにフォローされるのが多いハブがいくつも出現し、そこに集中するようにさらにネットワークが成長をすることになる。2009年はホワイトハウスなど明確なハブも出現して、twitterのネットワークが加速的に拡大する段階だったということになるだろう。