景気後退でOSSが広がる

 いつまで不況が続くのか、出口が見えない世の中であるが、日本はバブル崩壊以来、これだけ長く続くと、もはや20年以上前の景気のよいような時代というのはやってこない気がする。CO2の25%削減のごとく、おそらく低成長が当たり前の時代となるのだろう。そんな中で、ソフトウェアにあってもオープンソースソフトウェア(OSS)がますます伸びるきっかけになることだろう。財政的にも背に腹は代えられない、OSSこそソフトウェアのエコ・モデルといえるのかもしれない。

「景気後退でOSS検討,デスクトップでの関心も高まる」...(ITpro)

 OSSといっても、LinuxサーバーやApacheの伸びを不況による伸びと捉えるのは疑問である。有償のOSやWebサーバーに比べて、明らかにサーバーモデルとしては優秀だからである。不況になったから、やむなく採用されたというものではない。不況による影響として捉えるならば、LinuxデスクトップやOpenOffice.orgの採用などがそれに当たるだろう。結局、WindowsやOfficeを採用しているほとんどの要因は「Windowsに慣れている」「Windowsしか使えない」「Officeに慣れている」「他との文書の交換」であろう。しかし、それこそ業務改革すべき対象だろう。これは持論だが、有償のOfficeを導入するのは公的文書を扱う部署だけで十分ではないかと思う。つまり微妙な文書のテンプレートから扱わなければならないケースである。それに対して一般文書で、外部に対しても一方的に発信するだけだったらPDF文書にしてしまえば、元のソフトウェアの種類は関係がない。Office 2007がPDF文書に正式に対応したのは、むしろ最近のことだ。


 そのMicroosoftでさえ、無償のOffice Web AppsのようにWebサービスへと移行せざるをえない状況となっている。Googleに至っては、Windowsすら必要としないWeb OSを出そうとしている。そうした中で、いきなり明日からすべて切り替わるというわけにはいかないが、徐々にでもOSSWebサービスへと可能な業務から切り替えていくべきだろう。


 世の中的には教育、医療、福祉、環境といった分野は、積極的にそうした方向を勧めるべきであると思える。実際、これらは今後のIT分野の先端になる可能性のある分野でもある。