松井、日米通算1500打点を達成

 エンゼルスに移籍して開幕時は好調なスタートを切った松井だったが、ここに来て不調に陥り、なんと18打席無安打が続いていた。4番から5番に降格になっても調子が上向く気配がなかった。連休中の午前中にせっかく楽しみにしていたNHK BSのMLB中継を見ることができたのだが、松井のバットから快音が聞かれることもなく残念ではあった。そして日米通算1500打点の記録達成もあと「1」のまま、何試合も足踏みしたままだった。

松井秀、決勝打で日米通算1500打点達成!(SANSPO.COM)
松井秀、記録に「また積み上げていくだけ」
1500打点、プロ野球では過去8人のみ
ソーシア監督「目玉が飛び出るほどすごい」
松井秀かなり“マヅイ”17打席連続無安打

 チームもロードで7連敗のまま、イチローの待ち受けるマリナーズとの対戦になり、初戦はエンゼルスが勝ち連敗を脱出したものの松井は無安打のままだった。そろそろこれは「マヅイ」と思われた2戦目にしてようやく2安打が出て、しかも2安打目は延長10回の決勝タイムリーとなって日米通算1500打点達成に花を添えた形になった。記録達成よりも直近の不調脱出に、やれやれといったところである。本当の不調脱出にはやはり本塁打がほしいところである。


 本塁打ではすでに長嶋監督(444本)を上回ったが、打点(1522)でも抜くことは目前である。現在では日本プロ野球で1500打点以上は9人だけだそうだが、このまま行けば王(2170打点)、野村(1988打点)と並んでベスト3に入ることは確実だろう。ただ、松井はイチローと違って、なんとなく記録を追求することにはそぐわない気もする。「日米通算」にもなんとなく違和感がある。イチローの方は別に通算ではなくMLBだけでも大記録を達成(シーズン最多安打、9年連続200本安打)しているのだから、なおさらである。トリー・ハンターの「どこでプレーしようと、1500打点も記録したのは素晴らしい」」という言葉に、なんとなく救われる思いがするくらいである。


 もともと松井は春先は調子が上がらない傾向にある。コンディション的なものか精神的なものかはわからないが、遅刻魔として知られるだけに調子が上がるのも遅れ気味なのかもしれない。ヤンキースに入団した当初も開幕時こそニューヨークの地元デビュー戦で満塁本塁打を打つなど衝撃的デビューを飾ったが、その後不調に陥り、内野ゴロばかりが続いたので、ついには地元マスコミに「ゴロキング」などという不名誉な命名をされたこともあった。


 その頃、まだ脳梗塞で倒れる前の長嶋監督がニューヨークに松井を激励に訪れた。宿泊ホテルで巨人時代と同じように松井に素振りをさせたという話もある。松井の取巻きの日本の報道陣は色めき立ったが、ニューヨーク・メディアの記者はサダハル・オーは知ってはいても「ナガシマ?Who?」だったそうだ。日本の記者が「日本のジョー・ディマジオのような人だ」と説明して、ようやく納得されたという。当時のトーリ監督と旧交を温めながら、不調に陥っている松井のことも話したようだ。後にトーリ監督はその時のことを「ナガシマは、暖かい時期になれば松井は必ず良くなると言っていた。そして本当にそうなった」と嬉しそうに語ったという。さすがは松井のことを知り尽くしている長嶋監督の予言だった。さて今年もこの試合を機に、上昇気流に乗ってくれるだろうか。エンゼルスの浮沈も松井の打棒に完全にかかっていると見る。


 今年はマリナーズも強力な補強を行い、エンゼルスとアリーグ西地区の優勝争いになるとの予想だったが、この時点ではマリナーズの方も8連敗の泥沼で、エンゼルスとは最下位争いを繰り広げるお寒い状況で、せっかくのイチロー・松井対決も盛り上がらないようである。3戦目は松井は休養で欠場となるとのことなので、次回の対戦(全19戦あるとのこと)では、両者ともチーム、個人とも調子が上がっている状態での激突を見たいものである。