世界PC市場は減速

 2010年のPC市場は、後半には減速気味になっているという。理由はいくつか考えられようが、タブレットPC市場との競合が影響してきているのではないかという。

世界PC市場減速 タブレットとの競争が影響(ITmedia)

 一昨年末から昨年前半にかけては、PC市場は一時の金融危機からの影響から脱して回復傾向にあった。数からいえば、それまでWindows Vistaを買い控えていて、PCのハードウェアもそのままだった企業などが、ようやくWindows 7が出たところでシステムを入れ替えた需要が大きかったのではないだろうか。それが昨年前半までの伸びに繋がったと見ることができるだろう。それが一段落つき、PC需要の伸びが頭打ちになってきたということからもしれない。り


 一方、昨年前半から突然降って湧いたようなタブレットPC市場の立ち上がりは、後半からのPC市場にも影を及ぼしてきつつあるかもしれない。ただ直接影響を受けるのはPC全体というよりも、一昨年前には唯一活気があったネットブック市場である可能性が高い。昨年には明らかにネットブックのブームは下火になっている。安価なネットブックDellを抜き2位に上がったAcerが再び後退したことがそれを象徴している。それはネットブックがある意味、ノートPCの価格破壊を引き起こし、従来型のノートPCも低価格の製品が増えた結果、ネットブックとノートPCの境界がなくなってきたことにもよるだろう。


 さらに低価格のPCを求めるはライトな購買層でもあるわけで、PCでなくてもタブレットPCでも用が足りるのかもしれない。そうであればネットブックやノートPCを購入しようかと思っていた人が、タブレットPCに鞍替えしたとしても不思議ではない。結果的にネットブック市場に引っ張られていたPC市場が、ネットブックの減速によって全体が減速したといえるかもしれない。


 ただタブレットPCに食われたといっても、PCもタブレットPCの同じPCメーカーが出荷しているわけである。PCだけでは、ただでさえ今後大きく市場が伸びることは期待できない。タブレットPCの方が、もともとPCはあまりやらないが電子書籍を読むことには使いたいという新たな購買層を開拓できる可能性がある。PCメーカーとしてはPC市場の一部をタブレットPCに引っ張り、かつ新規の購買層を増やすという考え方になるだろう。今のところ、PCとタブレットPCの境界部分のニーズがどうなるかは、まだ製品の種類が少ないので何とも言えないだろう。