Document Foundationが「LibreOffice 3.3」をリリース

 昨秋、Oracleから独立して立ち上げた、OpenOffice.orgに関連する新団体「Document Foundation」によって「LibreOffice」の安定バージョンがリリースされた。OracleのSun買収によって、その資産に関連するオープンソースの団体が離れつつあるが、OpenOffice.orgもその1つである。

The Document Foundation、「LibreOffice」最初の安定版..(CNET Japan)
OpenOfficeの開発者ら、オラクルから独立した新団体を設立(2010.9.29)
Oracle、クラウド版Open Office「Oracle Cloud Office」..(2010.12.16)
オラクル,Webベースのオフィス・スイート「Cloud Office1.0」..(COMPUTERWORLD.jp)

 Microsoft Officeに対するオープンソースOpenOffice.orgだったはずだが、その権利を管理することになったOracleに反発することによって、さらにOpenOffice.orgに対するオープンソースが作られた。それがLibreOffice.orgである。何しろOpenOffice.orgの開発者らがこぞってLibreOffice.orgに参加していきそうだ。機能的には今回のバージョンでは、従来のOpenOffice.orgとそれほど変わらないようだが、本来のオープンソースの立場を維持し続ける点が最大のメリットといえるだろう。


 ネットワークの立場からは、デスクトップ版のOfficeソフトはそれほど重要ではないが、クラウドに移行しようとしている現在、オープンソースを貫き通せるOfficeソフトの存在は重要なのである。最近では自治体もOpenOffice.orgを採用してきているから、特定の企業に依存しないニュートラルな立場は社会的にも重要になってきているといえよう。Oracleは「Oracle Cloud Office」を有料で提供しようとしているが、クラウド版ではオープンソースではなくなるようだ。


 LibreOfficeが支持を受ければ、そのオープンソースクラウド版へと進化することも期待される。UbuntuRedHatNovellなどのLinux派やGoogleLibreOfficeを支持するという。今後、Linux版もリリースされれば、Linuxディストリビューションに標準でインストールされるOfficeソフトは、LibreOfficeになりそうである。クラウド版が作られれば、今後はプライベートクラウドも増えていくことになるだろうから、その上で提供されるOfficeとなることができそうである。


 それにしてもOracleは、やはりオープンソースの文化にはそぐわない企業と思われているようで、オープンソース派からは総スカンのような状態である。Sunから受け継いだ資産であるSolarisJavaからもオープンソース団体が脱退している。そしてOpenOffice.orgである。次は最大の懸念になっていて、クラウドにとっても重要であるMySQLがどうなるかであろう。