タブレットPCによって従来PCは不要になる?

 iPadに始まるタブレットPCの流行により、従来のPC利用のスタイルが変わりつつあるあるようだ。米国Nielsenによる調査によると、タブレットPCの使用により、以前よりPCを使わなくなる傾向にあるという。

米タブレットユーザーの32%は「以前よりPCを使わなく..(ITmedia)

 スタイル的には、キーボード、マウスから指タッチへの移行ということになるのだろうか。携帯電話からスマートフォンへの変化も同様である。そちらの方がスムースに操作できると思う人が増えれば、この傾向はどんどん続いていき、PCと携帯電話からタブレットPCスマートフォンの時代へとデバイスが変遷することになるだろう。


 iPadはもともとは電子書籍リーダーとしてのイメージが強かったが、機能的にはほとんどPCをカバーできる可能性もある。そうしたことにユーザが気が付き始めたことによって、PCを操作する時間が減り、タブレットPCを操作する時間が増えてきたのだろう。実際、ブラウジングしたりメールを送受信したり、SNSにアクセスする程度ならばタブレットPCでも十分用が足りるだろう。電子書籍リーダーとして期待した人にとっては、それ以上の働きをしてくれるのだから、これほど便利なものはないだろう。


 一方、PCの方はといえば、デスクトップPCに関してはタブレットPCの登場とは直接関わりなく、クライアントとしてはすでにノートPCにその座を明け渡していたといえる。ネットブックの登場によって、ノートPC自体の価格が下落したことも大きい。自分も近年はデスクトップPCといえば、会場の提示用の備え付けPCくらいしか操作することがなくなった。デスクトップPCをサーバー機にしているものもあるが、サーバー機はリモートアクセスで十分だから直接操作するわけではない。したがってタブレットPCから直接影響を受けているのは、ノートPCでありネットブックである。


 タブレットPCもノートPCも携帯性は似たようなものだから、やはり使用目的の違いによるだろう。「キーボード」をどれだけヘビーに必要とするかにかかってくる。上記のようにネットにアクセスするだけが目的だったら、タブレットPCの方が軽快になるかもしれない。しかし、長い文章を作るとかデータを処理するとか、プログラミング目的に至っては、やはりリアルなキーボードが必要になる。もちろんタブレットPCにもキーボードを別に接続できるが、別々になるのも煩わしい。したがって電子書籍を含め閲覧中心にはタブレットPC、開発目的にはノートPCと、棲み分けがなされていくのではないか。二者択一というよりは、ヘビーユーザなら両方所有して使い分けをすることになるだろう。互いのデータの交換はクラウドを介して十分なわけである。スマートフォンとノートPCとの間の関係と同様である。


 問題はタブレットPCかノートPCの、どちらかだけを所有したいというライトユーザだろう。そういう人をターゲットとした「タブレットPC VS ノートPC」のような比較論、評論がなされていくことになるのだろう。しかし考えてみれば、両方を買い揃えたところで、かつてのPC1台分の値段にもならないのである。さあ、あなたなら買うのはどっち?