米司法省のMicrosoftとの独禁法訴訟が終結

 1つの時代が終わったことの象徴だろうか。かつてライバル企業を蹴落としたり買収したりで、PCのソフトウェアの独占を達成してきたMicrosoftに対して、事実上独禁法違反の対象でなくなったことを、米司法省が表明している。

米司法省、Microsoftとの12年にわたる独禁法訴訟の終結を発表(ITmedia)

 Microsoftに対する独禁法違反の疑いは、WindowsとOfficeの独占、OSとブラウザのバンドルなど数多くあったはずだ。それが消費者の選択の自由を奪ったともいえただろう。Officeに関しては、いまだにそれが続いてきたともいえるだろう。米国や欧州ではMicrosoftに対して多くの裁判があったが、日本では文化が違うのか、あるいは「長いものには巻かれろ」なのか、Microsoftを持ち上げて提携する企業は多くあったが、独禁法違反で問題になったことはなかったように見える。


 しかしMicrosoftだけをターゲットにしてきた独禁法的な対処は、もはや時代遅れになったともいえるだろう。Microsoftからみれば、現在ではむしろGoogleこそ独禁法違反で訴えたいところで、実際欧州ではそうしている。


 デスクトップアプリの世界では確かにMicrosoftは巨大な独占を実現してきた。しかしネット時代になって、その独占はネットの世界にも同じように及ぼすことはできなかった。もちろんネットの中でも有力なプレイヤーの1つにはなっているが、Microsoftがネットの世界を主導していると考える人は少ない。そんな中で10年以上も前の状況のままの独禁法の裁判の適用を続けること自体が、滑稽なことになってしまっている。裁判対策も巨大企業にとっては仕事の1つだろうが、ネットの状況は変遷が早すぎて法の適用など間に合っていないように見える。終結したUNIXの権利に関する裁判のように、Microsoftの独占に関する裁判も過去のものとなっていきそうである。