日本のスパコンが世界一を奪還

 「2位じゃだめなんですか」の発言ばかりが突出して話題になった、日本のスーパーコンピュータ開発で、なんと2004年の地球シミュレータ以来の世界最高速の地位を奪回したという。いったい何がどう影響したのか。

理化学研究所「京(けい)」、スパコンランキングで..(CNET Japan)
「京」がTop 500のトップに、7年ぶりスパコン世界1位の..(ITmedia)
「2位じゃだめ?」発言のおかげか 日本スパコン、..(JCASTニュース)

 「事業仕分け」の是非はともかく、およそスーパーコンピュータなどに縁もゆかりもなかった人まで、日本のスーパーコンピュータ開発について議論するようになったのは、やや滑稽でさえあった。「2位じゃだめなんですか」を批判したいがために、みんな一端の評論家になったようだった。


 自分はどちらの肩も持ちたいわけでなかったのは、肝心の議論が抜け落ちていると思ったからである。まず、このプロジェクトからはNECと日立が自社の都合で撤退していたことである。また、仕分け側にスーパーコンピュータをよく知る先生もいたことである。もう、巨艦主義のスーパーコンピュータの発想は見直すべきではないのかという議論もなかった。もっとも事業仕分けは、そんな本質的議論をする場ではなかったということである。所詮素人が言い合いをしているだけのように見えた。


 それはともかく、今回の結果は残った富士通が頑張ったということだろう。むしろ事業仕分けで否定されたことで、背水の陣で開発に力が入ったのかもしれない。思わぬ首位奪回を果たしたが、今後も競争は激烈である。ハードもソフトも純粋に日本製というものが少なくなっている今、この分野であまり金をかけずにトップを維持することは可能なのかどうか。