IE 6の米国でのシェアが1%を切る

 後向きの話ではあるが、米国などでのIEのシェアがようやく1%を切ったという。セキュリティ面での批判などから、Microsoft自らがIE 6の終了を推進してきたのだから、ようやくといったところだろうか。それを祝うケーキにHTML5のロゴが乗っているのも意味深ではある。

Microsoft、IE 6の米国でのシェア1%切りを祝う(ITmedia)

 IE 6はセキュリティ問題のみならず、HTMLやCSSへの対応に問題があり、IE 6向けには特別な記述をしなければならなかった。それが開発にとっても負担であり、何より圧倒的シェアを誇るブラウザがWebの標準に対応していないという「ねじれ」現象を生じさせていた。Webの進歩を阻害しているのはIE 6でないかとさえ言われた。長い期間シェアを独占し続けた弊害からか、IE 6時代はブラウザ技術の進歩が停滞していたともいえる。GoogleによるJavaScriptの復権ともいえるAjaxへの注目により、次第に状況が変わってくる。IEのライバルとしてFirefoxのみならず、OperaSafari、そしてGoogle自らChromeを公開するに至って、ブラウザ戦争はかつてのPCのOSが割拠した時代を思わせるだけになった。


 IEもようやく重い腰を上げ?、IE 7、IE 8、IE 9とバージョンを上げ、ようやくHTML+CSSの標準に近づいてきたかのようである。そこに俄かに勃興してきたHTML5への対応の流れである。Microsoftとしてはこれまでの対応の遅れを取り戻し、HTML5ではむしろ他のブラウザをリードしていきたいとの意志の表れとも取れる。しかし皮肉なことに、IE 6時代が終了に近づければ近づくほど、IEのシェアは減少し続けていることも事実である。


 さて米国などに比べて、日本ではまだIE 6のシェアは5.9%で、中国(25%)、韓国(7.2%)に続いて大きい。この数値はそれぞれのお国の事情を表しているようにも見える。日本はある意味保守的で、1つのものを大事に使い続けるところがある。なかなか一度に環境が変わることを望まない傾向もある。セキュリティ対策のためのマイナーバージョンアップはするものの、簡単にはメジャーバージョンアップはしないということである。IE 6のみならず、OSもWindows XPのまま、あるいはPCも古い機種を使い続けているというケースである。「もったいない」の精神とでもいえようか。ただPCやネットの場合、必ずしもそうした文化に適合しているともいえないところもあるのだが。