「インターネットをダウンさせる」と予告

 特定の有名企業や組織に対する標的型攻撃に味をしめたか、それでも飽き足らず、今度は世界のインターネットを「3月31日にダウンさせる」とハッカー集団は予告しているという。一応米国内の問題に抗議するためとは称しているが、単に自分達の存在を誇示したいだけのように見える。こういう人達を「ハッカー」と呼ぶのもいかがなものかとも思う。単なるネットテロ集団かネットマフィアみたいなものではないか。サイバーテロのサイバーという言葉を使うのさえ、いい気分はしない。

ハッカー集団のAnonymous,「インターネットをダウンさせる」と予告(ITmedia)

 その攻撃とは13サイトあるルートサーバーへのDDoS攻撃であるという。以前も特定のルートサーバーが攻撃されたことはあったが大事には至っていない。DNSの仕組みを知っていれば、ルートサーバーの存在はインターネットの原理みたいなものだが、そこに挑戦することはテロ集団の自尊心をくすぐるものなのだろう。


 13あるルートサーバーのサイトが置かれている国は、インターネットが米国発祥だけに米国が多いが、13番目は日本のWIDEプロジェクトになっている。処理は分散されるからそのドメインの一部のサーバーは、他の国に設置している可能性もある。プライマリとセカンダリのサーバーを地理的に離れた場所に置くことと同様である。昨年の大震災や、もう10年前になったニューヨークのテロのことを考えれば、重要なサーバーを分散させておくことがいかに大事かがわかる。実際にはサーバーが設置されている場所や建物は、治安維持のため公表されてはいない。


 そこを同時多発テロのようにDDoS攻撃を仕掛け、ダウンさせようとする計画であると専門家は見ているようだ。ルートサーバーのアドレスはわかっているわけだから(named.caファイル)、そこに膨大なパケットを送り付けるようなプログラムを実行させればよいことになる。現実にはDDoS攻撃に参加させるボットネットワークが、どれだけテロ集団のコントロール下になっているかである。ルートサーバーが不正な攻撃に耐えられるかどうかよりも、現実にどれだけの乗っ取られた数のPCが世界中に存在しているのかの実態の方が怖い気はする。