五輪でも売れないテレビ

 五輪直前のテレビ商戦はかつての面影はなく、盛り上がらなかったようだ。もともと昨年にはデジタル化が完了し、駆け込み需要後の反動がきていることもあり、五輪の放送を見るために新しいテレビ買い換えるなどということは現実的ではなかったということである。

特需なき五輪 売れないテレビ(ITmedia)

 五輪に全く関心がないというわけではないにしろ、そのために一家でわざわざ大きな画面のテレビに買い換えることもない。それどころか若い世代を中心に、いつでもどこでも見られるスマートフォンなどで必要な場面と情報をチェックすることの方が現実的になっている。五輪の番組のときに家族が揃ってテレビの前に座る、という時代ではなくなっているのである。五輪にかぎらず、テレビ番組全般にいえることで、ライフスタイルそのものの変化でもある。テレビ業界や家電メーカーがいかに足掻いても、この流れは止められない。


 そうなると家電メーカーのスポンサードもこの不況下では負担となり、最悪五輪放送の権利をテレビ局が買う資金が調達できなくなる可能性もある。そもそもテレビというハードウェアを一般消費者に売るという商法が成り立たなくなっているようである。電話機と同様で、そもそも単機能単方向メディアであるテレビが、画質が良くなったとはいえ、双方向メディアが多く出現した現在、大きく売れるものではなくなっている。