野茂メジャー復帰に向けて始動

 しばらく音沙汰のなかった野茂が、メジャーリーグプレーオフ最中に、メジャー復帰を目指す意思を公言した。ベネズエラでのウィンターリーグに参加するという。今春のCMの「現役続行」のキャッチフレーズの通りのようである。インタビュー時の仏頂面も健在だった。

野茂、ウインターリーグ参加へ ベネズエラで復帰目指す (Sanspo)
野茂英雄・公式Webサイト

 松坂、岡島、W松井、井口とプレーオフに入っても出場できる日本人メジャーリーガーの数も増えたが、やはり忘れられないのは野茂である。現在39歳、昔であれば、特に投手ではとっくに引退していても不思議ではない。
 野手に比べても、やはり投手の過酷さは特別である。30代になれば長年酷使してきた肉体の故障は避けられない。ほぼ2年間、ひじの故障で手術とリハビリをしていたというが、これも長年の金属疲労の結果だったのだろう。


 そもそも投手の生命線であるひじにメスを入れれば、投手生命は終わりというのが常識だった。それがスポーツ医学の進歩とリハビリやトレーニングのおかげで、選手寿命を延ばすことができるようになった。しかし、そこでどういう選択をするのかは選手次第だ。過去の栄光の記憶のまま引退するか、戦力外にされてもなお、活躍できる場を追い求めるかである。人はもう十分だから早く引退して指導者に、と言うのだろうが、本人は違うようである。


 野茂の場合、単純に「投げるのが好きだから」と言う。以前、「どこにも使ってもらえなくなったらNOMOベースボールクラブででも投げたい」とまで言っていたくらいだから、本当に野球が好きなのだろう。投げられるのならば、マイナーでも独立リーグでも特に苦とはしないのかもしれない。簡単に言うが、これは並大抵のことではない。しかしその精神力が、ここまで野茂を支えてきたともいえる。


 今日は帰国したばかりの桑田が夜のテレビ(スポーツうるぐす)に出演していた。こちらもパイレーツを解雇された後、あのジョーブ博士のアドバイスで足首を手術して、来季再びメジャーを目指すつもりだという。


 野茂と桑田、桑田の方が早生まれで学年は1つであるが同年代、同じ大阪出身だそうである。同じ投手とはいえ、歩んだ道はだいぶ違うが、この歳になってなお這い上がろうとする意思は共通している。過去の栄光に浸かってしまうことはない。まだまだこの2人の生き様には注目していきたいものだ。