必殺仕事人2009

 2007年にも書いたので、昨年以上に関心が薄れたが、恒例として?本年も書くことにする。今年はレギュラー番組も始まるらしい。とすれば必殺シリーズが復活ということになるのだが、さすがにもう最終シリーズも20年くらい前のことなので、復活という感覚はない。
 中村主水藤田まことが昨年以上に老けたように見受けられて、むしろ寂しい思いをした。役柄的にはいまだに現役の仕事人になっていたが、昔の立ち回りを知っていればちょっともう無理のように思えた。藤田まこともレギュラーで出続けるのだろうか。だとすれば、旧来の必殺シリーズのファンによる視聴率確保を狙ったものとしか思えない。

朝日放送 必殺仕事人2009

 正月特番の方はストーリー的には特に言うべきこともない。無法者が長屋の立退きのために暴れまわるような話は映画シリーズでもよくあったので、その焼き直しみたいなものだろう。それより必殺に限らず、時代劇は特に俳優の存在感であると、つくづく感じた。仕事人2009の役者も軽くなって、仕事人パロディくらいにしか思えなかった。必殺も長年続いたのも、藤田まことをはじめ、仕事人役の俳優の存在感の部分が大きかったように思う。


 そういえば昨年は緒形拳が亡くなった。時代劇向き俳優という人がいると思うが、緒形拳はその一人だった。NHK大河ドラマに人気が出て今に至ったきっかけは、当時まだ無名だった緒形拳が秀吉役の「太閤記」であったといわれる。そして必殺シリーズの先駆けとなった仕掛人・藤枝梅安だった。その時代は昭和40年代だったが、テレビ時代劇の黄金時代だったといわれる。ざっと挙げるだけでも、杉良太郎の「大江戸捜査網」、中村梅之助の「遠山の金さん」、中村敦夫の「木枯し紋次郎」、萬屋錦之助の「子連れ狼」、そして「必殺仕掛人」などがあった。映画の世界では三船敏郎や「座頭市」の勝新太郎がいた。その後50年代は「水戸黄門」のシリーズ化、千葉真一の「影の軍団」、松平健の「暴れん坊将軍」などがある。まだ他にも多数あったとも思うが、特に一時期リアルタイムや再放送で見ていたりしたものである。
 YouTubeなどでアップされている昔の映像を見ると、今でも十分面白いと思われるし、テーマ音楽がよかったものが多い。


 共通していることは、必ず主役と脇役に時代劇向きの存在感のある役者がいたことである。時代劇ほど役者の存在感と口上、立ち回りに依存する部分が大きいからだろう。極端に言えば、その役者が毎週登場して大見得さえ切れば、ストーリーはワンパターンでも十分だったのである。昔のプロレスなんかと同じで、最後にお約束の大技が出て決まれば満足というものだったのだろう。


 だがストーリーはワンパターンで継続可能だったとしても、肝心の役者がいないというのが、昨今の時代劇衰退の理由ではないだろうか。ベテラン時代劇俳優といえば、里見浩太郎北大路欣也松平健くらいしか浮かばない。里見浩太郎はとうとう水戸黄門に格上げになったが、助さん格さんが昔に比べて軽すぎる。時代劇も全体的に現代的になってしまっているのは仕方のないところか。


 今は仕事人もジャニーズになってしまったが、視聴率重視だとそうなるのだろうか。最近のNHK大河ドラマの主役を見ても同様で、ジャニーズやアイドルの主役のオンパレードである。時代劇は文字通り、過去のものになっていくのだろうか。