クラウドを採用する基準

 GoolgeとMicrosoftも、クラウドの主導権をめぐって争うことになりそうだが、果たしてGoogle AppsがMicrosft Officeの脅威になるかということが1つの焦点になっている。しかしそれだけとも思えない。

Google AppsはMicrosoft Officeにとって脅威か?(ITmedia)

 そもそもクラウドの定義やニュアンスがベンダーによって異なるので、かつてのデスクトップ環境でのビジネスの一般用途では、Officeを用いることが多かったから、クラウド時代も同じようにOfficeがキーになるとは限らない。単にデスクトップ機能をそのままWebに移すだけということにはならないだろう。Webサービスでいえば、Google AppsかOfficeかの二者択一が問題なのではなく、どのWebサービスでドキュメントを作っても互いに流通させられることが重要であろう。いくらWebサービスでいろいろなことができても、個々のサービスが独立してしまっているとネットの特性は生かされないことになる。


 またクラウドWebサービスを利用するだけの末端ユーザを中心に考えるならば、Google AppsやOfficeが問題となろうが、Amazonのように環境ごと提供するようなサービスでは、ユーザが自サイトではできない規模の顧客サービスの提供もできるようになる。大企業のユーザには、より内部ネットとしてのクラウドが必要になってくるだろう。IBMやHPなどはこうしたユーザを取り込むことになるだろう。そこでもOfficeが重要な選択の基準になるとも思えない。


 まだクラウドサービスは始まりつつあるところで、今後本格化してくることになるだろうが、目的によってどういうタイプのクラウドが必要になるのかは、そう単純なことにはならないだろう。むしろOfficeとかメールとか、従来の固定観念に縛られない方がクラウドの発想にとっては重要だろう。