Amazonが「Amazon RDS」を発表

 従来型業務サービスをクラウドへの本格的移行するための大きな問題の1つは既存のデータベースをどうするかという問題があった。2009年はクラウドデータベースが焦点となる年であるとも言われていた。もう年末に近づいてきたが、Amazonの1つの回答がこれであると言えるかもしれない。

米Amazon、AWSクラウド向けRDB「Amazon RDS」を発表(マイコミジャーナル)
アマゾン、「MySQL」をクラウドで提供する新サービス「Amazon RDS」..(COMPUTERWORLD.jp)

 AmazonAmazon EC2などのサービスの中で、データベースとしてはSimpleDBというものが提供されていた。これは従来のリレーショナルDBよりもシンプルな機能しか持たないものであるとされている。新規に作成されるDBはともかく、既存のDBをクラウドに移行させるのは難しいものだったと思われる。Webサービスといっても、実質的に陰で支えているのはWebサーバーと連携するDBの存在である。特にLAMP(LinuxApache+MySQLPHP/Python/Perl)におけるMySQLの存在はデフォルトのようなものであった。


 これまでも独自にMySQLを含むLinuxサーバーを仮想して、MySQLを利用することはできたかもしれないが、Amazonの公式サービスとしてもMySQLを正式に導入することになった。クラウドの中で容易にハンドリングするためのツールも公開されるとのことである。すでにクラウドの中では、仮想サーバーの生成、消滅などがブラウザ上からのツールで容易に行えるようになっている。クラウド上のMySQLも同様に操作できるようになりそうである。


 そうなると、次の問題は既存のサービスで稼働中のMySQLでデータベースの内容をいかにクラウドにアップロードさせるかになってきそうである。まずローカルシステムの中でMySQLによるデータベースを1度仮想化してから、Amazonのストレージにアップロードするような形になるのだろうか。データベースの仮想化を含め、とにかくクラウドのデータベースにとっては大きな進歩になるだろう。同じようにPostgreSQLなどのサービスも広げてほしいものである。


 やや懸念があるとすれば、MySQLを買収したはずのSunがOracleに買収されたことによって、MySQLの方針がどうなっていくかということである。ひいてはそれは最大の有償データベースを持つOracleクラウドに対するスタンスにも関わっている。その点、AmazonOracleは裏では合意ができていると見るべきなのだろうか。