Microsoft Security Essentialsを中小企業でも

 Microsoft Security Essentialsが中小の企業や組織でも利用出来ることになるという。無償で使えるにも拘わらず、何だか不思議な気もするがどういうことか。

Microsoft、無償ウイルス対策ソフトを中小企業でも利用可能に(INTERNET Watch)

 これまではライセンス利用規約条項には、企業や法人での利用は認められていなかったが、条項を改定して中小企業向けには利用を可能にするという。つまりこれまでは企業の一括導入は認められていなかったから、もし一括導入されれば損害額は発生しないもののライセンス違反となり、違法コピーと同じことになるというのだろう。有償のセキュリティソフトのベンダーに対する配慮ともいえるかもしれない。Security Essentialsが公表されたときも、批判もあったはずだからである。Security Essentialsはウイルス対策の基本機能だけで、現状のセキュリティ対策には不十分などの批判であった。


 しかし1台あたりのセキュリティ対策ソフトにかかる費用はそう大きくなくとも、これが複数のPCになると、そうでもなくなる。現在では3年分3ライセンスまでとか、いろいろ価格でダンピングはしている。けれどもフリーのセキュリティ対策のソフトもあることだから、コストはかからないに越したことはない。正規の稼働PCはともかく、中古になったPCも多くある。そうしたものに新規にソフトウェアにコストをかけることはできない。しかしそれらもネットに接続する以上はセキュリティ対策は講じなければならない。有償セキュリティソフトの3年間の使用期間が切れたPCはどうするか。フリーのセキュリティ対策ソフトに切り替えるか、今ならSecurity Essentialsを導入することになるのである。仮にパーソナルファイアウォールでガチガチに固めたいのならば、Windowsファイアウォールで設定すればよい。フィッシング対策などはそもそも仕事用PCでは必要はないと思える。


 中小企業に10台までというが、どういうわけかMicrosoftはネット接続に関連したラシセンス数10というのがお好きなようである。「中小企業」の定義を10人以下の従業員の企業としているのかもしれないが、PCは10台しかないとは限らない。むしろそれ以上の方が多いだろう。あるいは私物のPCを職場に持ち込んでなどと想像すれば、ライセンス数はきわめてグレーゾーンではある。ただMicrosoftとしてはOfficeのようにライセンス数の管理だけはしっかりと行いたいのだろう。


 Security Essentialsに関しては結構利用している人は多いと思うが、あまり悪口は聞いた試しがない。Officeと違ってタダだからということもあるかもしれないが、みなセキュリティ対策はこの程度で通常は(良い意味で)大丈夫だと思っているからだろう。組織内部ではサーバーやルータ側で第一義には対策をするはずなので、ネットの水際のクライアントPCで過重な対策を行う必要は少なくなるつつある時代だからともいえるだろう。