MicrosoftがAdobe買収の可能性

 IT企業の買収話にはだいぶ以前からことかかないないが、MicrosoftGoogleなどの大手企業が絡む買収話や噂となると大きなニュースになる。Microsoftの話となると、Yahoo!の次はAdobeかという思いになる。Microsftがというより、Adobeの現況がどうなのかが気になるところである。

「MicrosoftがAdobe買収の可能性」の報道(ITmedia)
Windows Phone 7はFlash対応、Adobe幹部が明らかに(3.11)

 Adobeといえばデザイン系の有償ソフトウェアをほぼ独占してしまった企業という感がある。それもライバル企業を買収、吸収しての結果だった。PageMakerのAldus、FlashMacromediaなどである。デザイン分野の勝ち組といえるわけだが、独占しても時代とともにいつまで続くかはわからないのが、IT業界のようである。


 今回の噂は、MicrosoftAdobeがモバイル市場におけるAppleの優位性と対抗策を話し合ったことから、その1つとしてMicrosoftAdobeを買収することも選択肢にあるのではないかということらしい。今FlashをめぐってはAppleiPhoneiPadへの導入を拒絶しており、Adobeも対応に窮しているところである。Microsoftからすればそれに乗じて、むしろFlashを前面に出してモバイル市場に勝負をかけたい。それならばいっそFlashを有するAdobeごとに入れて勝負するという可能性もなきにしもあらずということかもしれない。IT企業は「まさか」と思われる買収が突然発表になったりすることもあるから、ありえない話ではないだろう。ただ現在の経済状況で、現実的にMicrosoftが莫大な買収費用を出せるのかという気はする。


 Adobeの現状はどうなのだろうか。Photoshopをはじめとするデザイン系ソフトウェアの性格上、必要とするところでは確実に購入されるから、売上げがそう落ちることがないと思われるので経営状況がすぐに悪化することはないだろう。ただソフトウェアがSaaSに移行しつつあるとき、Adobeのソフトウェアだけが例外ではいられない。すでにオンラインのPhotoshopであるPhotoshop Expressは公開されているが、有償のデスクトップ版からWeb版への全面移行は経営上の理由から、なかなか進まないことではあるだろう。今後はWeb版からの収益を確保できるようになれば、デスクトップ版を終了させることもできるだろうが、なかなかAdobeのサイトだけでは難しいかもしれない。またクラウド移行も考えれば、クラウドのインフラを持つMicrosftと一緒になって、Flashはじめそのコンテンツを提供する方が相乗効果もあるかもしれない。


 同じような発想では、以前GoogleAdobeを買収するのではないかという憶測もあったと思う。どちらかといえば、YouTubeを有するGoogleと一緒になってほしいとも思うが、ワークステーション市場で勝ち組のはずだったSunがOracleに買収された顛末など、一寸先は闇でどうなるか予想はつかないようだ。