富士通と京大で数式処理の世界記録を達成

 科学関連のお題を昨日に続き、もう1つ。数式処理の記録を出したという話である。京大と、先日スーパーコンピュータ「京」が世界最高速になったことに貢献した富士通によるものだという。

京大、16次方程式の判別式計算に成功(マイコミジャーナル)
富士通と京大、数式処理の世界記録を達成(ITmedia)

 それによれば、16次方程式の判別式計算に成功したのだという。それまでの記録は15次までだったとのこと。連立1次方程式の数値計算の連立数に比べれば、何だかずいぶんと次数が少ないような気もするが、数値計算と違って数式処理では数値にしないで、記号のままで処理するから項の数と判定の数が増えて、その程度の次数になるのだろう。典型的なのが因数分解の複雑さである。いわゆる高次方程式の判別式の項の数は、2次方程式ではb2-4acの2個だが、「16次方程式の判別式は3,798,697,446個の項」になるという(15次方程式の判別式は663,316,190個の項)。


 さてこの項の計算は事実上、行列式の計算になるという。そのカラクリはすぐには思い浮かばないが、行列式といえば日本では関孝和である。鎖国していた江戸時代にあって、ライプニッツとほぼ同時期に行列式の概念に至っていたという。その方法は3つの連立2次方程式から未知数を消去した係数の関係から導かれるものだったと思う。なんとなく数式処理に近いような方法だった。高次方程式と行列式を結びつけるのは、今回の手法と似ているとみれないこともない。この分野では日本にも歴史があると言いたいだけではあるが。