プライベートクラウドサービス「Amazon VPC」が利用可能に

 これまでAmazonクラウドといえば、Amazon EC2などパブリッククラウドの典型に分類されていたのだが、東京データセンターの進出を機にプライベートクラウドサービス「Amazon VPC」も開始されることとなった。

Amazon Web Servicesのプライベートクラウドサービス「Amazon VPC」..(クラウドWatch)
Amazon Web Services、東京データセンターを開設(3.2)

 以前から噂されていたAmazonデータセンターのアジアでの2番目の拠点である東京データセンターが開設されたのが3月2日。そのわずか10日もしないうちに大震災に見舞われ、計画停電やら節電の影響が及んできたはずである。一時は15%の節電で、データセンターそのものが危機に立たされたものだが、なんとかデータセンターは節電の対象外に定められたという経緯もある。そんなことからAmazonの東京データセンターのサービスにも支障が出るのではないかとも思われたが、ここにきて世界のデータセンターと歩調を合わせて、「Amazon VPC」も開始に漕ぎつけたようである。


 AmazonプライベートクラウドはEC2などと似て、基本的に入れ物のサービスであり、その中のサービスの組み立ては企業が自由にできるものとなっているようだ。したがって運営管理手法やセキュリティ対策など、従来のオンプレミスで行ってきたことをそのまま踏襲することができるため、クラウドへの移行のハードルは容易になっていそうである。特に「どこにサーバーがあるのかわからない」とか「いざというとき、掛け合う責任者が定かではない」という心理的不安はなくなりそうだ。少なくとも「サーバーは東京データセンター内にある」、「いざというときはAmazonの担当者に」という説明が企業内部で成り立ちそうだからである。


 特にパブリッククラウドとの違いは、VPNなどの回線が可能になったことである。実質的にAWSに加わったのはこれだけであるといってもよいだろう。VPNで利用するユーザ(社員)からすれば、少なくとも外部からはサーバーが社内に設置されていようと、Amazonにあろうと特に差はないからである。さらに、より機密性の高い専用回線のサービス「AWS Direct Connect」も近く開始されることになるという。これにより既存の企業のデータセンターとAmazonクラウドサービスが高速回線で直結が可能になるという。たとえば公開サービスはAmazonクラウドに置き、オンプレミスのプライベートクラウドを置く企業データセンターとの連携をはかるという利用形態も可能になるだろう。