結婚紹介サイトの出会いアルゴリズムとは

 どうでもよい内容の記事ではあるが、出会い系サイトではなく結婚紹介サイトのアルゴリズムに異議を唱えている研究者がいるということが気になった。誇大広告の薬品かサプリメントの効果に医者が異議を唱えているようなもので、米国ならではというところか。

米研究者「結婚紹介サイトの出会いアルゴリズムに科学的な証拠なし」 (INTERNET Watch)

 出会いアルゴリズムと聞くと連想されるのは「安定結婚問題」のアルゴリズムである。これが結婚紹介サイトで使われているのかどうかは定かではないが、仮にそうだとすれが科学的根拠がないという議論とはやや視点が異なるだろう。


 「安定結婚問題」はあくまでマッチング問題のたとえ話であり、データ全体の最適な組み合わせの安定な解は存在するかどうか、存在するとすればその手順を示すものに過ぎない。結婚問題に特化して、すべての会員個人が第一希望か、満足するパートナーを見つけることができるかどうかという話ではない。それは満足するかどうかは人間の主観が入るからである。「○○が好み」とか美人やイケメンが好きと言ったところで、古いことわざの通り極端には「蓼食う虫も好き好き」や「痘痕もえくぼ」だったりするからである。つまり人間個人の主観を共通の数値化をすることは難しく、そうすれば恐ろしくパラメータの数が増えることになるだろう。また好みというのはイメージに対して、実際の場面では非常に揺らぎやすいやすいものである。実際に出会わないでイメージのまま(妄想のまま?)の方がはるかに安定しているといえる。


 というわけで結婚紹介サイトが満足できないといっても、それはマッチングのアルゴリズムの問題ではなく(誇大広告をしていることは問題だろうが)、主観というものの数値化の問題とそのパラメータの数に見合うだけのデータ数の問題といえるだろう。またそもそもコンピュータやネットに人間の出会いを求めることに対する、心理的抵抗感が批判の根源にあるのではないかと思える。出会いを求める手段そのものも「蓼食う虫も好き好き」だろう。