GoogleとFTCが和解

 米国での話だが、GoogleとFTC(米連邦取引委員会)が和解し、事実上Googleは「無罪」を勝ち取った形である。簡単に言えばGoogle検索が独占禁止法に抵触しているかどうかだろうが、そこまでは言えないというところだろうか。

GoogleとFTCが和解 アルゴリズム変更は不要...(ITmedia)

 まずは検索結果に恣意性が存在するようなアルゴリズムになっているかだが、アルゴリズムは変更不要ということになった。検索アルゴリズム特定サイトや企業が常に上位に来るような作為性でも発見されれば問題だろうが、なかなか難しいことだろう。その検索アルゴリズムの裏をかいて自社のサイトの検索順位がなるべく上位に来るようにサイトを作るのがSEOだろうが、特定のサイトだけがそれに成功するというのも難しいだろう。したがって検索結果で自サイトだけが差別されていると感じるのは筋違いであるだろう。


 Googleのライバル企業が最も独占を懸念してきたのは検索広告である。このFTCへの訴えそのものはMicrosoftなどが、なんとかGoogleの検索広告の独占を阻止したいためのものだったと思われる。しかし現実的にはGoogle検索のシェアは、Bing+Yahoo!に対してでもそのほぼ2倍となっている。一時期BingがシェアでGoogle検索を追い上げるかとも思われたが、Google検索は揺るぎないものだったようである。それは検索広告のシェアも揺るぎないことを意味している。そこでMicrosoftとしては法の力を借りてでも楔を打ち込みたかったわけだ。しかしGoogleにはうまく立ち回られた形である。


 Googleといえば、もはや独占が問題というより、今や一連のサービスのポリシー変更の問題に懸念が示されている。Googleに個人情報やネット上の行動やプライバシーが管理されてしまうということである。ある意味、膨大な検索可能なデータベースで管理されてしまうといってよいかもしれない。ストリートビューのように1個人のプライバシー侵害が問題というより、国単位ですべての個人データが管理されることが可能になり、いざとなれば当局にもそれが利用可能になる可能性があるということになる。他人の言動を互いに監視しあって密告するような国もあるくらいだから、データベースを利用すれば、特定の人間の思想、信条、交友関係まで監視可能になることになる。


 それはともかく、Google検索広告でFTCと「和解」したというのは、問題なしというより、もはや「Goolgeが独禁法違反か?」という問題が時代遅れになったという気がする。かつてMicrosoftは「WindowsIE」の独占が問題とされた。Windowsの圧倒的シェアの元にIEまで押し付けたということが問題になったわけだが、ネットサービスが充実した現在ではIEそのものが時代遅れとなって、問題と感じる人も少なくなった。Google検索サービスそのものも陳腐化しており、すでに関心のターゲットはクラウドSNSに移っているからといえるだろう。