松井秀喜、ついに引退を表明

 レイズを8月に自由契約になり去就が注目されていた松井が、この暮れになって正式に引退を表明した。スポーツ選手の引退する時期とか理由は本人にしかわからないことであろうが、残念の一言である。しかしメジャーリーグに残した足跡は、野茂やイチローと並んで大きなものであった。

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 来季も現役を続けるとしたら、他のメジャー球団のマイナー契約を得て招待選手としてキャンプに参加し、メジャー昇格を目指すか、日本のプロ野球に帰ってくるか、あるいはかつての野茂のように独立リーグに参加して結果を出してメジャー球団からの誘いを待つかの選択肢だっただろう。日本の球団としては巨人はともかく、中畑監督のいるDeNAとか星野監督楽天などが歓迎してくれそうではあった。しかしこのまでの松井の言動からは、メジャーで通用しなくなったからといって日本の球団でという意志はあまりなさそうには思えていた。


 ではメジャー球団のマイナー契約は、といっても指名打者としての条件だけではナ・リーグは無理で他のア・リーグの球団しかなくなるが、すでに4球団を渡り歩いたわけだから、これも可能性はきわめて狭くなる。最後は独立リーグだが当然ながら条件はきわめて悪く、故障持ちの体でコンディションを整えながら結果も出すのは相当難しいし、結果を出したとしてもそれでメジャーからお呼びがかかる保証もない。無名選手ならともかく松井ほどメジャーで実績を残した選手であるほど、むしろ難しいかもしれない。


 引退を決意した理由ははっきりとはわからないが、レイズで期待されていたにも拘わらず結果が出せずにブーイングすら浴びてしまったことは、本人も周囲にとってもショックだったに違いない。積年のケガの影響、衰えなどさまざま考えられようが、この年齡でスラッガーに一番ありがちなのは「動体視力の低下」なのではないだろうか。清原の現役の晩年などもそうだった。150kmを超える速球が当たり前のメジャーリーグにあって、気が付かない動体視力の低下が進んでいると本人の感覚では捉えたつもりの球が微妙にズレてしまい、以前はホームランにできていたものが外野フライに終わってしまうようなことになる。これが続くとフォームも崩れ、長期のスランプに陥りがちになる。松井はバットをブンブン振り回してホームランか三振かのような打者ではない。落合譲りの投手の配給を読み、1打席を1球で仕留めるタイプであるので、微妙な狂いが打撃全体の結果が出ないことになる。膝などの怪我の後遺症は常にあっただろうが、こちらはなんとか克服していたように思えた。しかし、レイズでは結果が出なさ過ぎた。やはり、この結果がすべてだったのだろう。


 今はとにかく残念である。メジャーでホームランを打つことにとにかく期待していた。できればシーズン40本台まで打ってほしかった。今はとにかくお疲れ様でした、夢をありがとう、と言うしかない。