ドコモに迫られる「iPhone」導入?

 まだこの話題でドコモはユーザを引っ張ろうとしているのかと思える。狼少年ばりのドコモの「iPhoneが来るぞ」である。それも契約数の減少で苦戦を打開するためには、ということである。

ドコモ、1月契約数がマイナスに 迫られる「iPhone」(ITmedia)
BlackBerryが日本撤退へ

 そもそもiPhoneが登場した頃から、ドコモはモバイル市場を見誤っていた。ソフトバンクとのiPhone争奪戦に敗れたときもiPhoneは「ただのパッチパネル式の携帯電話」と負け惜しみを言っていたくらいである。その後のiPhoneiPadスマホタブレット市場の大きな原動力になったことを考えれば、なんと先見の明のなさだったろうか。直接的には前社長がスティーブ・ジョブズとの交渉に失敗し、ソフトバンク孫社長にうまく立ち回られたということだろう。当時はiPhoneは日本では売れないなどと予想していたくらいである。しかしMacintoshの時代から、あるいはNextの時代からコンピュータの世界でジョブズが何を引き起こしてきたかを知っていれば、iPhoneの成功は予測できたものだろう。結局、日本で最大のキャリアのプライドがiPhone導入を失敗させたと思える。


 ジョブズの死後、ドコモはAppleとの交渉はやりやすくなったと思えるし、ドコモのLTEの普及にApple側も関心を示しているということから、昨年はiPhone5がドコモからも出るのではないかという噂も立ったが、結局立ち消えになった。国産スマホを後押しするというのならまだしも、世界的にシェアが高いとはいえGalaxyイチオシでは、国内ユーザは付いてこないのではないか。そしてスマホはやはり通信料が高いというイメージがある。Apple製品は昔から高いというイメージがあったが、それでもユーザが欲しがるのはまさにAppleのブランド力だった。しかしドコモにはそれがないのに高いだけである。


 ちなみに国内ではドコモだけが販売していたBlackBerryも撤退する。初期のスマートフォンではビジネスユース中心とはいえ米国はじめ、それなりのブランドだったが、結局ドコモはそれを活かすことはできなかった。通信料とプランをいじり回すだけで、このモバイルの激動の時代にあまり大きな戦略がなかったように思える。単に契約数が減ったからやはりiPhone導入を、というだけなら、同じ失敗を繰り返すだけになるようにも思える。