Microsoftが個人向けOffice 365を発売

 ネットの話題中心のこのブログでもOfficeの話題で取り上げてきたのは、もっぱらオンラインOfficeかOpenOffice.org(LibreOffice)ばかりである。Microsoft Officeは商用デスクトップ(オフライン)ソフトの最後の砦みたいなものだったからである。ソフトウェアのWebサービス化の流れの中で、MicrosoftがOfficeに対する最終回答になるかどうかが、今回発売の個人向けの「Office 365 Home Premium」だろう。

Microsoft,「Office 365 Home Premium」を発売..(ITmedia)
Microsoft、学生向け「Office 365 University」を..(2012.10.20)

 簡単な話、ついにMicrosoft Officeの利用も全面的にクラウドに移行するということだろう。先行するストレージサービスのSkyDriveと組み合わせてユーザのOffice文書の保存場所も確保してあり、今後ユーザはOfficeのパッケージを購入する必要はなくなり、ネットでMicrosoftアカウント(Windows Liveではなくなる)にサインインさえすれば、これまでOfficeで作業していたことがすべてクラウド上で行えるようになる。価格は年間$99.99だそうだから日本円では1万円を切ることになるだろう。従来のバージョンアップまでは3年程度だからパッケージの購入価格とほぼ準じていることになる。


 個人的にはWeb2.0が言われ出した頃からGoogle DocsZohoの出現などから予測はしていたことである。ただその後、クラウドの発展、スマートフォンタブレットの出現と、周囲の情勢は大きく変わってきた。MicrosoftとしてもWindows8タブレットに軸足を移してきたように見える。


 Office365への全面移行は多くのWindowsユーザにとっての影響は大きい。すぐにデスクトップ版がなくなることはないだろうが、早晩クラウドへの移行を余儀なくされる。パブリックなのかオンプレミスなのかの選択と、そもそもOffice365かGoogle Appsにしてしまうのかの選択もある。また研修、教育の場でも同様である。これまでパソコンといえばWordやExcel、インターネットといえば電子メール、Webなどと区分けしてやっていたことも発想の転換が必要になるだろう。


 タブレットがノートPCを凌駕する時代になると、もはやWindowsでしか動作しないとかWindows8タブレットのアプリでしかアクセスできないなどということに意味はなくなるだろう。しかしそうなればどのOSのタブレットからでもOffice365にアクセス可能になり、Windows8の存在の意味自体も危うくなる。Officeをクラウドに移行させてもデスクトップ時代のOfficeユーザをそのまま維持できるか、あくまでもWindowsによる独占を目指すことになるか、いずれ大きな転換点を迎えることになるだろう。