井川メジャー初勝利

 井川が3試合目にして、ついにメジャー初勝利を挙げた。ヤンキース打線が持ち前のパワーを発揮し、序盤リードのまま6回まで投げきった。井川の本来の実力ならば楽な展開だったのだろう。

 そういう思いもあってか、インタビューでは記念すべき初勝利だったというのに、そっけないものだった。良く言えば自分に厳しい態度だが、これも阪神時代に好投し勝ってもヤジを受け続けた記憶がそうさせるのだろうか。井川にとって、阪神ファンのヤジに比べれば、ヤンキースファンのブーイングなどはものの数ではないらしい。英語がわからないことでなおさらだ。ニューヨークはメディアやファンがキツいと言われ、そのプレッシャーで期待されながら低迷したままで終わる選手もいる中で、それをものともしない阪神で鍛えられた井川の精神力も見ものである。


 松坂が全米に注目されていることもあって、井川は他球団からはせいぜいヤンキースのローテーションの谷間にかろうじて入り込んた新人投手くらいの認識だろう。実際、メディアでもマイナーから急遽昇格して初勝利を挙げた新人投手と同じような扱いにされている。
 しかし忘れてならないのは、井川はあの阪神でエースであり、野村監督からもコキ下ろされ、最下位も優勝も経験している沢村賞も獲得したベテラン選手でもあることだ。速球はメジャーの中ではたいしたことはないが、経験は松坂のみならず、かつての野茂、伊良部と比較しても何の遜色もない。まともに行けばヤンキースの柱になっている王健民にも劣ることはないと思っている。

 ある意味でここは井川にとってはチャンスだろう。相手が油断しているスキに、初対戦の相手にどんどん勝ち続けることだ。対戦が一回りしたあたりで、対戦した相手のメジャー側も対策に本腰を入れてくるだろう。そこが本当の勝負になってくるだろう。


 ところで、今のAロッドは凄い。この調子が続くと、シーズンでホームランが60本や70本まで行くかもしれない。一方で、井川やAロッドが活躍している裏で、日に日に存在感がなくなっているのが松井だ。昨年の大怪我からの欠場がそのまま続いているような錯覚さえしてしまう。芸能人と同じで、ちょっと休業していると、あっというまに忘れ去られてしまう。NYでもまた、松井不要説も出てきかねない。