ヤンキース・トーリ監督退団

 ヤンキーストーリ監督がとうとう退団した。結果が求められるメジャーリーグの中でも、最もそのプレッシャーが大きいヤンキースだけに、今回は仕方がないというところか。それにしても、あのワンマンオーナーの下で、よく12年間ももったものだとも思う。

トーリ監督がヤ軍退団会見「この12年間を誇りに思っている」(Sanspo)
松井秀「今季は失敗しかなかった」…独占インタビュー (スポーツ報知)

 この6年間、ワールドシリーズ制覇から遠ざかっているとはいうものの、12年間プレーオフ進出を続けてきたのは、他球団ではマネのできないことだった。今年のプレーオフ進出の8球団のうち、昨年もプレーオフに出場しているのはヤンキースだけだったそうである。それだけメジャーではプレーオフ進出が難しいということだろう。


 ヤンキースはFAで、高年棒の有名選手ばかりをかき集めてスターチームを作っているから、勝って当たり前の印象があるが、実際にはそう簡単なものではないだろう。スターばかりゆえにプライドも高く、チームとしてまとまるかどうかが最も問題である。


 いろいろな選手が出入りしてきたが、まとまってこれたのはやはりトーリ監督のなせる業だったのだろう。松井などは野球観が一致していたと語っている。言葉のわからないメジャーに来て、言葉でなくても通じる野球でボスと信頼関係を築けたのは、大きな励みになっただろう。初めのころ、トーリ監督が松井を買うのは、押しかける日本の報道陣に対してのサービスではないのかと思っていたが、どうやらそれだけではなかったようだ。それだけにトーリ監督のためにも、ワールドシリーズ進出を果たせなかったことは無念さが残る。


 期待だけで簡単に言えば、松井がAロッド並の活躍を見せていれば、毎年でもワールドシリーズ進出ができただろう。と言うほど、メジャーは甘くないだろうが、松井だけの責任ではないとはいえ、贔屓目ではそう考えてしまう。


 今後のヤンキースだが、次の監督のこともさることながら、チームのメンバーも大幅に入れ替わることも予想される。ジーターはヤンキースの顔だから残るだろうが、あとの選手は誰が入れ替わっても不思議ではない。AロッドさえもFAがあるから、どうなるかわからないようである。


 さて、肝心の松井だが、今後よほどの活躍をしないと、ヤンキースに居づらくなってくるのは確実だろう。来年あたりはともかく、もしトーリ監督が他球団監督に就任したら、思い切って松井は恩師のいる球団に移籍した方がよいかもしれない松井稼頭央ではないが、風当たりの強いメッツからロッキーズに移籍したら、今年は凄まじい活躍である。記録的なことより、ここぞという場面でチームに貢献している。今や松井といったら、稼頭央の方になってしまった。

 松井秀喜の方もチームが変われば、打撃タイトルを取れるだけのブレイクをするかもしれない。以前からそういう話はあったが、トーリ監督の行く新球団にというのが、松井のメジャー選手としての挑戦には現実的な路線になるかもしれない。