MicrosoftとYahoo!の文化の違い

 MicrosoftYahoo!買収提案があってから、いろいろな憶測が広がっているようだ。結論が出るまでの時間が長引けば長引くほど、この傾向は続くだろう。Yahoo!が下降線になっていることが最大の原因ではあるが、Microsoft側もこれしか選択肢がないという状態かもしれない。

MSとのカルチャーギャップを恐れるYahoo!社員 (ITmedia)
Microsoftにとって最後の頼みの綱になる米Yahoo!

 検索分野だけで考えれば、1位に勢いでも及ばない2位と3位が合体したとしても、1位を追い越せるとは思えない。ただYahoo!は完全にGoogleとネット分野でかぶるが、Microsoftは本来デスクトップソフトウェア販売の企業であるから、極端に言えば異業種であるといってもよい。広告分野ばかりでなく、Googleドキュメントがネット分野の方からからドル箱のデスクトップのMicrosoft Officeまで脅かしてきそうなので、Yahoo!との事実上異業種合併でこれに対抗しようとしている構図である。MicrosoftGoogleがネット分野だけで反抗しようとしても、発想的な部分、あるいはデスクトップ分野との矛盾を抱えるためにうまくいかない。そのうちにどんどんGoogleに独走されているように見える。


 Microsoftは遅れているというより、もはやMicrosoftの従来のビジネス体系が過去のものとなっているということであり、同じ発想をネットにも通用させようとするところに無理がきているということだろう。そこでMicrosoftは旧体系の経営をやって、新しいネットの発想は元祖ネット企業といえるYahoo!にやらせてMicrosoftの冠を付ける方が手っ取り早いし、ネット分野でも主導権を握る戦略になるということであり、現時点ではもはやそれしか道はなくなりつつあるのかもしれない。Yahoo!にしても経営的な不安がなくなり、ネット分野に専念できるという読みであろう。


 ただ経営的にはそうだとしても、有料ソフトウェアを独占してきた企業と、オープンソースなど斬新なネット分野を切り開いてきた企業とでは、企業文化が違うことは一番大きな問題だろう。もしMicrosoftの買収が実現したとすれば、レイオフでなくてもYahoo!から離れる技術者は増えるだろう。株主の意向を尊重すれば技術者が離れるというジレンマになるかもしれない。買収が話題になっているときは一時的に株価は上がっても、落ち着くとまたどうなるかはわからない。


 それでもアメリカの有能な技術者は、まるでメジャーリーガーのフリーエージェントのようにいろいろな会社を移り変わる。今Yahoo!にいる人でも、かつてはライバル企業を転々としていたりで、日本ではあまり想像できない。それだけに文化が合わないと、有能な人からライバル企業などに移籍していきそうである。Yahoo!の現在のCEOは技術畑の人だけに、それが最もよくわかっているだろうから、ジレンマも大きいのかもしれない。