「闘うリハビリ」番組に長嶋監督が登場

 事前に知らなかったが、NHKスペシャルのリハビリの特集番組に長嶋監督脳梗塞からの復活、リハビリ治療の様子と単独インタビューが初めて公表されていた。

「闘うリハビリ」番組に長嶋監督が登場 (ZAKZAK)

 今は星野ジャパンと話題になっているが、4年前にアテネ五輪を日本代表監督を目前にしていた長嶋監督脳梗塞で倒れた。アテネ五輪までには復活するようなスポーツ紙報道もなされたり、結局五輪には行けなくても最後まで「長嶋ジャパン」だと言い張って五輪を終えた。そこには病床にあった長嶋監督とは無関係にさまざまな意志が働いていたと思われる。大きなことは長嶋監督が再起できないとなると、スポンサーが撤退しかねないということだったろう。予選は無理でも本選には間に合うとか、アテネには行けなくても準決勝以降は電話で指揮を執るとか、かなりムチャクチャなことが言われていた。
 それだけに逆にスポーツ紙報道は大本営発表で、長嶋監督の本当の容態はどうなのか、相当深刻なのではないかという憶測が流れたりもした。そして再起できないのに日本代表監督を降りようとしないと長嶋監督自身を非難したりとか、なぜそんなに長嶋監督を優遇するのかなどという批判もあったりした。


 しかし長嶋ジャパンと持ち上げる方も、安易に批判する側も的が外れているのではないかと思えた。持ち上げる方は「長嶋」という名前を出さないと、スポーツ紙を含めて商売にならなかったということである。批判する方は長嶋の偉大さを知らない世代である。王監督も同様だが、WBCの時に王監督の元に各国の選手やマスコミが押しかけ尊敬の念を示され、イチローも含め、改めて王監督の偉大さを日本人が知らされたというくらいである。アメリカではベーブ・ルースだのジョー・ディマジオなどはいまだに英雄である。日本でそれに相当するのが長嶋なのだが、日本人はどうも先駆者に対する尊敬の念が希薄というか、良くも悪くも後の世代に伝わっていかないものなのだろうか。


 それはともかく、長嶋の栄光の時代を知っている人にはあまり見たくはない姿だったかもしれないが、リハビリの様子には鬼気迫るものがあった。長嶋にしろ王にしろ、若い時代には誰にもできないほどの練習をしたと言われているが、その頃から培われた精神力が苦しいリハビリも可能にしている気がした。そして何より自分の復活を待っている人がいるという信念がそうさせているようにも思えた。ただ、リハビリの間に夫人に先立たれたことだけが気の毒だったと想像された。