Vistaは企業市場で死に体

 このブログでも何度か話題にしてきた「既にわかっていたこと」だが、Vistaは世間ではもはや失敗というか「事故」とみなされているということが単なる噂レベルではなく、調査でも浮き彫りになってきたという。

Vistaは企業市場で死に体―調査であらためて浮き彫りに(ITmedia)

 やや衝撃的な事実はVista導入が進んでいないどころか、この1年でもXPの導入の方が伸びているということである。表面的にはVistaの最大のライバルはXP?という皮肉な現象が起きている。もはやVistaレームダック(死に体)であるとさえ言う。
 その理由はすでに語りつくした感があるので繰り返さないが、一言でいえば「わざわざ金をかけて、業務効率を落とすような愚行はできない」という至極真っ当な判断である。システムの導入や入れ替えを提案する立場のITマネジャークラスからして、Vistaの導入に「強く反対」の立場に回っているのだという。自分も同じ立場ならば、賢明な判断であると思わざるをえない。


 失敗の原因の分析は、まだまだこれからだろうが、まず「失敗だった」という事実を確認することからであろう。いや失敗ではなく、これこれの分野では順調に伸びている、という提灯持ち記事などは話を混乱させるだけである。Linuxの普及に押されて、Windows Vistaの人気が下がったということも考えにくいし、事実統計でもLinuxを導入している企業は3%程度に留まっている。それよりLinuxはとっくにサーバー部門ではWindowsサーバーを凌駕しているのであって、クライアントのデスクトップ部門でそれほどシャカリキになって、Windowsを追い落とそうとしているようにも見えない。むしろデスクトップはWindowsに似せることによって、Windowsしか知らないユーザに対しても易しい環境を用意している程度にしか見えない。あえて言えば、OpenOffice.orgなどによるODF陣営がMicrosft Officeの代替になろうと活動が活発になってきていることくらいである。


 つまりVistaの失敗は、Microsoftの単なる自滅である。特定の何かの機能が悪かったというより、これまでのWindowsのアップグレードのやり方を、そのまま通用させようとしたこと自体が失敗だったとしか思えない。


 このまま数年のうちは、やはりXPのシェアがトップのままで推移し、Vistaはこのままの伸びでは2010年でも28%程度にしか至らないだろうとされる。その頃にはWindows 7が登場することになり、事実上そこでVistaの寿命も尽きることになる。もしWindows 7が評判のよいOSだとすれば、XPのユーザがVistaを飛ばして移行することになるだろう。しかし、Windows 7Vistaと違って評判のよいOSになるということも、あまり期待はしていない。もうOSによってシステム全体が影響を受けるような時代錯誤的感覚をどうにかしてほしいだけなのである。