「コンピュータ」か「コンピューター」か

 Microsoftがといっても、マイクロソフト日本法人がなのだろうが、自社のサービスにおいて、外来語カタカナ用語末尾の長音表記を変更するという。英語スペル語尾が-er、-or、-arで終わる場合に長音表記「ー」をつけるようにすることになる。どうでもよさそうな問題であるが、ドキュメントを書く人にとっては混乱しそうである。

マイクロソフト、自社製品でのカタカナ表記ルールを変更(CNET Japan)
「フォルダ」が「フォルダー」に、マイクロソフトが長音表記を変更(INTERNET Watch)

 それによれば例として「コンピューター」、「プリンター」、「ブラウザー」、「エクスプローラー」などになるという。技術系では長音表記は除くのが普通だったはずで、今後の技術文書の書き方に混乱を与えそうに思う。
 NHKなどマスコミは昔からニュースや番組では「コンピューター」などとしており、一般向けの用語という印象が定着している。逆に技術者同士で「コンピューター」などと表記していると、やや怪訝な顔をされそうである。もっとも「サーバー」か「サーバ」かでは悩むこともある。このブログでも両方出てきているはずである。どちらかといえば、単独で使う場合は「サーバー」、用語が連結した場合は「Webサーバ」などにしている場合が多いと思う。引用記事に合わせている場合もある。


 日本人的に発音しやすいなどと理由を付けているが、もとの英単語のアクセントの位置からすれば、「コンピューター」は「ピュ」にあり「ター」にあるわけではない。語尾にアクセントを置かないようにするために、「ー」は省略していたのだと思っていた。技術文書などでは、特にあまりカタカナが長いと、元の英単語が推測しにくくなる場合さえあるからである。だから、今後とも技術文書の方は、マイクロソフトの思惑どおりに変わっていくとは思えない。


 しかし技術側から一般ユーザへ向けてのマニュアルや解説文書が問題となりそうである。公式文書などで技術用語を平易に解説しようとするところでは、いちいち「ー」を入れたり入れなかったりの変換と推敲をしなければならない。新しい規則では、記事にあるような「テクニカルイラストレーター」や「テクニカルコミュニケーター」は「テクニカルイラストレータ」、「テクニカルコミュニケータ」でよいのではないか?などと突っ込みの1つも入れたくなる。


 技術の内容とは無関係な仕様変更をコロコロと行って、無駄にユーザを混乱させるのが得意のMicrosoftらしいと思えるのは、自分だけだろうか。