Opera Uniteに対する疑問

 すべてのPCをWebサーバ化できる可能性のある「Opera Unite」に対して、驚きとともに早くも疑問の声も上がっている。セキュリティに対する懸念、どんなPCでもWebサーバにすることの必要性、クラウド時代への逆行ではないかなど様々のようである。

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 直感的に、やはり一番気になるのはP2Pを使っているだけに、Webといっても事実上プライベートWebのようになり、Webサーバへの管理が行き届かなくなることである。クライアントにはいろいろなレベルのユーザがいるから、セキュリティへの意識も様々になってしまう。気が付かないいちにボット化される危険性は大いにありうる。


 P2Pを利用することは、プロバイダなどのサーバを介さずにファイル交換が可能になることであるから、Winnyなどと同様に情報漏えいの危険があるのではないかというというものである。国内ではP2PといえばWinny=情報漏えい、利用禁止のイメージが出来上がってしまっている。海外では音楽やソフトウェアの違法なファイル交換が問題になってきた。サーバーを必要としないP2P技術は、本当は使い方によってはこのOpera Uniteのように多くの可能性を持つものだろうが、これまではイメージが悪すぎて「アイデアはいいがやり方がまずい」とも考えられてしまうのだろう。


 プロバイダなどのWebサーバは必要としないが、登録だけでなく、本当にファイル転送の際にOperaのサイトをプロキシサーバのように経由することになるのだろうか。そこである種の管理をするのはよいとして、今度はOperaのソフトやサービスだけにしかアクセスできないことに対する不満となる。事実上、そこで「囲い込み」をすることになる。Opera Uniteオープンソースになっていないからである。


 さらにはむしろサーバーの統合へと向かっているクラウド化の時代に、すべてのクライアントまでWebサーバーにして分散してしまおうとする「逆行」に対する疑問である。「そんなに人々は24時間PCを繋いだままを望んでいるのか」というわけである。良くも悪くも、発表があった途端に、これだけ反応があるということは、注目を引いているということでもある。Operaが自らのブラウザの生き残りのために、物議を醸すのは承知の上で、賭けに出たという気がしないでもない。