スティーブ・ジョブズが復帰

 スティーブ・ジョブズが生還してきた、という表現の方がよいかもしれない。Apple信者ならずとも、ジョブズが復帰できるかどうかは気がかりなところではあった。病気ではなくても、Microsoftビル・ゲイツ、Sunのビル・ジョイなどの同世代の先駆者はほとんどが勇退、引退している。PC黎明期の最後のカリスマといってもいいかもしれない。

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 Appleの新製品発表会というより、ジョブズの復帰イベントといった方がいいくらいであろう。参加者のほとんどは、新製品の内容よりもジョブズの復帰と今後のAppleの行く末に関心があったと思える。病み上がりで激痩せして登場したとはいえ(王監督が胃の手術から復帰した姿を思い出した)5ヶ月で復帰は早いし、深みを増したような表情に眼光は衰えていないように見えた。昔Nextを率いていた頃はトム・クルーズかと思う精悍さ、今はショーン・コネリーのような渋さと勝手に思っている。まだ当分はジョブズのシナリオ通りのAppleの路線は続いていくことだろう。


 新製品では「iPod nano」がビデオカメラ付きiPodとなった。もともと音楽プレイヤーで写真を撮ったり、ビデオを撮ったりするというコンセプトが意外である。音楽をBGMとして聴きながら、何かアクションをするという考え方だろうか。デジタルビデオが安価で手軽になり、またYouTubeに簡単に投稿できるようになったりしたことから、iPod nanoで動画撮影、すぐにYouTubeで公開ということもアリになった。ネットによる音楽配信を可能にしたiPod+iTunesだから、動画の送信も当然の流れというわけだろうか。多機能化してくると、その製品自体、そもそも何がメインの機能だったか忘れそうになりそうである。iPod nanoにしろ、動画撮影をメイン機能として使い、現場中継よろしく、すぐにYouTubeに公開してもいいはずである。なにしろ一般のデジタルビデオカメラは、スタンドアロンのままだからである。