何も仕事をしていないサーバー

 Linuxのおかげでもあるのだが、世界中でインターネット・サーバーの数は増加し続けており、固定IPアドレスさえ確保できれば、事実上誰でもサーバーを構築し公開することができる。一方で、公開はしたもののアクセスも少なく、管理者も事実上放置しているサーバーも増えていることは確かだろう。自分にも思い当たるサーバーはある。こうしたサーバーは、明確にコストとエネルギーの無駄であると指摘するレポートもある。

“仕事をしていないサーバ”の年間管理コストは247億ドル(COMPUTERWORLD.jp)

 それによると、少なくとも世界各国の15%のサーバーが業務を何もしていないサーバーであるという。サーバーというからには、24時間稼動が当たり前なので、処理内容に拘らず電源だけは入っているのは普通である。ダウンしていれば、定期的なDNSのキャッシュすら更新されない。ただサーバーとしての処理の内容的な部分に関しては、事実上何もやっていないに等しいサーバーはかなりの割合があることは確かだろう。レンタルサーバーなら月額のレンタル料を払うから、少なくともその額に見合った処理をさせるようにするが、自前のサーバーだと、とりあえず立ち上げて処理内容は後からという安易なケースも多い。そうしてそちらまでなかなか手が回らずに放置状態ということになる。サーバーに限らず、PCは何かをしようがしまいが電気量はさほど変わらないことから、あまり気にしない面もある。そもそもサーバーの電源を落とすことは、サーバーが何らかの障害があってダウンしているいうイメージなので、起動さえしていれば安心している面もある。サーバーは正しく設定され、順調に稼動していれば、手動では日常には何もしなくてもよいから、なおさら問題がないように思ってしまう。


 サーバーの稼働率を何で判断するかだが、CPUの稼働率で判断しているケースが意外に多いという。それだけならば、サーバー内部だけの処理内容も含まれてしまうことになり、不十分といわざるをえない。サーバーであるからには外部からのアクセスのトラフィック量を継続的に測定しておくべきである。管理者であればそのためのツールがあることも知っているはずである。サービスを公開しているサーバーならば当然なのだが、それすらしない、何も設定されていないサーバーも増えているのだろう。サーバーを公開するためのコストはきわめて小さくなっているから、むしろ管理者の人件費の方が問題になる状況なのだろう。


 さて管理者個人の立場としては、一部のサーバーが処理内容的に何もしていなくてもあまり気にならないが、組織全体、あるいは社会全体として捉えたときには、省エネ、省電力、そして今後はCO2削減という地球規模レベルのことにも関わってくるだろう。すでにグリーンITの中では「サーバー仮想化」によってサーバーの物理的台数を減らす方向がある。あまり稼働率の高くないサーバーは仮想化サーバーとして、どんどんまとめてしまう方がよいことになるだろう。さらにはクラウドの中の1つの仮想サーバーにしてしまうことになるだろう。