2009年の漢字は「新」

 漢字検定協会の不祥事でイメージが損なわれたが、今年も世相を表す漢字1字が選ばれた。「新」だというが、あまりピンとこない。新型インフルエンザ、新政権などを表すからだというが、通常「新」は希望を含んだ意味合いが強いと思うのだが、新型インフルなどは、とてもそうは思えないし、新政権も難題だらけで希望よりも不安の方が大きそうだ。

09年の世相「今年の漢字」に「新」が選ばれる(YOMIURI ONLINE)
新政権、新記録、新型…今年の漢字は「新」(nikkansports.com)

 もともと、たった1字で1年の出来事を象徴させるのはかなり無理があると思えるが、自分としては「変」だと思っていたが、ちゃんと候補にも入っていたようだ。オバマ大統領のChangeではないが、新政権もどちらかというと自民党の凋落による「政変」だと思えるし、経済不況の「変動」、気候変動も含めて、変な嫌な事件も多かったように思える。


 まあ、こじつければいくらでも候補は挙がりそうだが、漢字は他の言語と違って表意文字なので1文字や熟語の2文字から4文字だけでもコンパクトにいろいろな意味や想像を含ませることができる。日本人は歴史的に何でもコンパクトに詰め込むことが得意のようで、考えてみればいろいろ思い当たる。たとえば弁当箱などにあれだけコンパクトに栄養価を考えたおかずをカラフルに詰め込むこともそうである。新聞紙面に隙間なくきっちりレイアウトするのもそうである。またExcelをきっちりレイアウトするツールとしても使うのは日本人くらいなものだそうで、比較的隙間が生じても平気な外国人から見れば「クレイジー」なのだそうである。


 漢字の話に戻せば、かくいう自分は「四字熟語」が好きであり関心も高い。世相は1文字だけでなく四字熟語くらいで表せばよいのではないかと思う。四字熟語は系統的にコレクションしているわけではないが、いつもとっさの表現の時にこの状況を的確に表す四字熟語はないものかと考えてしまう。もっとも会話の場面と文章で使う場合では異なるだろう。会話で誰もよくは知らない四字熟語を使ってもかえって意味が通じなくて会話を中断させてしまうだけであるし、文章にしてもくだけた文章では使えない。しかし当てはまる四字熟語を考えることが面白いのである。中には一生使うことがないようなものもあるし、自分が知っていて使える言葉なんて、ごく限られたものだと思い知らされることもある。英語など外国語まで入れれば、なおさらである。いくら世の中の情報量は増えても、自分の引き出し可能な知識量は増えそうもない。