欧州ではブラウザ選択画面を提供

 欧州ではWindowsに導入されるブラウザがこれまでのようにIEがデフォルトではなく、ブラウザ選択画面が出るようになるという。何かと米国企業に対しては厳しい欧州委員会からの独禁法訴訟に対する措置とのことである。

ブラウザ選択の自由を世界中に-Microsoftのライバルが..(ITmedia)
Microsoft、欧州でWebブラウザ選択画面を提示開始(ITmedia)
IEのシェア、減少続く 61.6%に(ITmedia)

 IEWindowsへのバンドルの問題は何も今に始まった話ではなく、MicrosoftがかつてのNetscape Navigatorのシェアをあからさまに奪いに行ったときからのことである。もともと有償だったNetscapeはわざわざパッケージを買わなければインストールできなかったのに比べ、WindowsをインストールしたときにIEはデフォルトですぐに使えるようになったため、パフォーマンスの問題はともかく、一般ユーザにとっては十分だった。Netscapeはどんどんシェアを失い、AOLに身売りをしてオープンソースソフトウェアになったが、最終的には消滅の憂き目にあった。ただこのときのオープンソースが元になり、かつてのNetscapeのスタッフも移って登場したのがMozillaFirefoxだった。この頃のNetscape独禁法Microsoftを訴えた結果は、IEWindowsから削除できるようにMicrosoftが譲歩したようなことだった。


 そして今回の欧州向けの妥協案は、Windows起動時にどのブラウザをインストールするかを選択できるメニュー画面を提供するということである。なかなかこの画面の各ブラウザの並びは微妙なところであり、起動するごとにランダムな並びになるのだという。しかし見たままの画面に表示されるのは主要5ブラウザだけで、Sleipnirなどの他のブラウザはスクロールして初めて表示される。単純にシェアの順番に並べるというわけにもいかないから不満も出るのだろう。見かけは平等にしたところで、それによってシェアが大きく変わるとは思えないが、よくわからずにIEをそのまま使い続ける人を期待しているのだとしたら、Microsoftにとってはあまりよい話ではないことは確かだろう。


 この画面は今のところ欧州向けだけだというが、世界中に提供すべきだと主張する団体もある。確かに地域や国によって事情が異なり、企業もそれに対応した各国戦略を展開するわけだが、独禁法で提訴されているところだけしぶしぶというのもおかしな話だ。同じ有償のソフトウェアのWidnowsを導入しているのだから、権利は平等であるべきだろう。


 さてそのブラウザのシェアの今年に入ってからの動向は、IEは相変わらず減少を続ける傾向にあり、60%を割り込むのも近いだろう。Google Chromeが伸びを示して5.6%になった。意外なのはここまで微増を続けてきたFirefoxが初めて微減に転じたことである。ここ1−2ヶ月のことで推測するに、YouTubeHTML5ビデオ対応が影響しているかもしれない。Google Chromeでは真っ先に対応しているが、コーデックの違いからFirefoxはまだ対応していない。YouTubeユーザ中心に、YouTubeを見るのを機にGoogle Chromeに乗り換え始めた人が増えたということかもしれない。このままFirefoxはそろそろ頭打ち、Google ChromeChrome OSもにらんでさらにシェアを伸ばしていくということになるかどうか。