Googleが中国からの事実上の撤退を表明

 とうとうGoogleが中国本土からのサービス撤退を決断した。撤退の可能性が言われ出してからいろいろ中国政府との交渉もあったようだが、国としての方針が変わるはずもなく、ネット企業しては前代未聞のビジネス以外の理由になる撤退となる。

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 とはいえネットであるから、全くアクセスできなくなるというわけではなく、中国本土からのYouTube、Sites、Blogger、Docsの一部などへのアクセスができなくなるという。Google側はいっさい制約しているわけではないから、中国内部から外部へ出るパケットに制限がかかっている可能性がある。Googleは中国本土からのパケットは何も処理せずにGoogle香港のサイトへ転送するだけだという。中国政府がその転送パケットも制限するかどうかを見定めるつもりらしい。


 一企業が外国の支店を撤退させようが、国のレベルでは関係がないはずだが、国境がないネットのサービスの最大大手のGoogleであることと、Googleへのサイバー攻撃が中国にとって最も微妙な人権問題に関係しているとあって、Google特定の意図はないにしても、結果的に政治問題のようになってしまっている。また経済不況が続く中で、世界での中国の存在感が増して来ているだけになおさらである。


 Googleの事実上の撤退を受けて、他のライバル企業なども対応が難しいところだろう。鬼の居ぬ間にではないが、Microsoftなどはこの隙にBingやWindows Liveを中国に普及させるチャンスと見るかもしれないが、あまりあからさまだと、かえって米国国内からの反発もあるだろう。Appleにしても、Androidが難しい立場になるために、iPhoneが有利に働く可能性はある。何より中国政府がGoogle以外の米国企業に対して逆に便宜を働くようになるかもしれない。


 「郷に入っては郷に従え」ということわざがあるが、ふとこの場合「郷」とは国のことに当たるのではなく、ネットの中のグローバル・スタンダードGoogleにとっての「郷」なのではないかと思えた。「郷」をなくそうとする企てには到底協力はできないと。