MicrosoftのWebの将来

 先週、Office Web Appsが公開されたが、ある意味Googleに対抗するためにOfficeのWeb版は出さざるをえなかったともいえる。ストレージサービスのSkyDriveと直接的に連携していることからも、単なるWebサービスというよりクラウドサービスの始まりになっているといってもよいだろう。例によって、eWEEKの変な記事を追いかけながら、今後を予想してみる。

MicrosoftがWebで成功するために実行すべきこと(ITmedia)

 MicrosoftがAzureによって、GoogleAmazonクラウドに対抗するプレイヤーに名乗りを挙げていることは衆知のことだが、Officeスウィートに代表されるデスクトップソフトウェアのライセンスビジネスから、どうやってWebサービスクラウドサービスに転換していくつもりなのかは、まだはっきりとはしていない。


 かつてMicrosoftは新しいジャンルに進出するときには、先行するベンチャー企業などの製品に対して後発ながら対抗製品を出して、資金力にモノを言わせてあの手この手でそのシェアを奪うというビジネスを行ってきた。どうしてもシェアを奪うことができないものは、ライバル製品を会社ごと買収してしまうという有無を言わせぬ手法さえ取ってきて市場の独占を達成してきたのである。


 しかし同じビジネス手法はクラウドサービスに関しては不可能であるようだ。むしろ先行するAmazonGoogleへの対抗上、クラウドに投資せざるをえない状況であるし、時代の流れが大きくそちらへと向かっているからである。かつてインターネットが勃興してきた15年以上前の状況とも似ている。インターネットの出現はMicrosoftにとっては想定外のことだった。それ以前はMicrosoft独自のネットワーク(MSN)を構築して、世界のネットワークを独占したいところだった。それが急速なインターネットへの流れから急遽方向転換をし、MicrosoftさえもTCP/IPネットワークを標準とせざるをえなくなったわけである。いまだにNetBIOSなるものが存在しているのは、このときの痕跡であるともいえるだろう。


 さてeWEEKの記事ではMicrosoftに頑張ってほしいのか、Googleに対抗するためのいろいろなアドバイス?を送っているようだが、ざっと挙げると「クラウドを勧める」「Bingを頑張れ」「Google戦略を見極める」「企業買収」「Office Web版を推める」「広告事業」「SNS推進、Facebooktwitterの買収」「オフラインソフトウェア(Office)の死を受け入れる」「IEは他社ブラウザと共存を」「エンターテイメントにも力を」といったものである。なんとなくもはや陳腐な提言ではある。


 Googleに対抗するためにGoogleと同じようなサービスを立ち上げることと、SNSなどGoolgeが弱いジャンルに進出することは既に試みられている。一番大きなことは、現在のMicrosoftのドル箱のオフラインソフトウェアであるOfficeを捨て去ることができるかである。というより捨て去られる運命にあるだろう。ビジネス的には、あらゆる新規のWebサービスクラウドサービスの立ち上げは、この代替のビジネスモデルになりうるかの試みであるといっても過言ではないだろう。もしそれが不可能だとすると、将来的にはMicrosoftの存亡にも関わるともいえることだからである。