Six Apartが米広告企業が買収される

 ブログの元祖として有名な米Six Apart社が、米広告企業によって買収されたという。IT企業の吸収・合併にはもはや驚きはしないが、これは発展的合併なのか、ブログ分野が頭打ちになっていることを見越してのことなのだろうか。

Six Apartを米広告企業が買収 新会社「SAY Media」に 日本法人は...(ITmedia)

 ブログといえば「Movable Type」と、入れ込んでいた時期は自分にもあった。2000年代前半のことである。いまだにブログ分野ではユーザ数では1位であるようである。当時はブログそのものが斬新なもので、面倒なWebページを作成せずともWebページからテキストを流しこんでやるだけで、ネットの知識があまりない人でも、容易に自分のWebの公開ページを持ててしまうということであった。Movable TypeCGI(Perl)で書かれており、セキュリティ上CGIが敬遠されつつあったとき、CGIを復活させたもののように思えて、関心が高くなった。


 それ以後、ブログはごく当たり前のWebサービスとなり、CGIでなくともPHPその他でも可能となり、Movable Typeもブログサービスの1つという位置づけになった。特にLAMPをベースとするPHP系のブログではWordPressが有名で、Movable Type有償サービスに向かったのに対して、完全オープンソースで無償のWordPressに関心に移っていったのは大きい。これは2004年頃の出来事である。下記のGoogleトレンドの結果では、2004年を境に両者への関心が明らかに逆転していることがわかる。そしてLAMPの定着がWeb2.0のブームに繋がっていったと見ることができる。この時点で元祖Movable Typeはネットの主流からは外れていったと見えるのである。




Movable TypeWordPressの逆転


 Webサービス全盛の時代になり、SixApartもMovable TypeTypePadをベースにした独自のブログサービスVoxを始めている。しかし多くのWebサービスが乱立する中、結局最近になって、Voxサービスの終了が発表されている。そして何よりWebサービスはブログばかりではなくなり、現在のようにTwitterFacebookなどに多くの関心は向かうようになっている。Googleでさえも、少々古臭く感じられてきているくらいだから不思議ではある。したがって、もはやブログだけを中心とするサービスは時代遅れになってきているといってもよいのだろう。ブログのユーザ数1位は、現在ではネットサービスの1位には繋がらない。


 米国の本家Six Aprtは買収されることになったが、日本のシックスアパートは子会社でありながら、ある程度独自路線を歩むようである。Movable Typeの開発もある時期から日本が中心となっていることもあり、ブログの事情も日本は米国とは異なる面もあり、独自開発の余地があるとの判断なのだろう。ネットの世界は開発側にとっては一寸先は闇のようでもあり、1年後には何が主流となっているか予想もつかない面がある。ブログが開いたWebの世界の功績は大きいが、既に十年一昔前の話にもなりつつある。